地域密着のほっこり相談できる薬局を事業承継したい

〜夢を叶える方法〜

合同会社 ミコー 漢方処 ミコー薬局 代表社員 古髙 優子 氏

両親の背中を見て育った古髙さんは薬剤師になり、やがて経営者になりました。その中で同友会の学びはどう活かされていったのでしょうか。

家業に入る

合同会社 ミコー 漢方処 ミコー薬局 店舗

 今回の取材は合同会社ミコー漢方処です。会社にお邪魔すると、古髙さんがとびきりの笑顔で迎えてくれました。まず沿革からお話しいただきました。
 ミコー薬局の創業と社名の由来は、当時、興和新薬に勤めていた父親が、西洋薬のみの薬物治療に限界を感じ、志免町にあった『アコー薬品』を、志を共にする仲間3名で買い取り、同じ名前では紛らわしいということと、3名で経営するので『ミコー』と改名し、地域で相談ができるお店を開業し、昭和50(1975)年に有限会社ミコー薬品 志免薬局を設立させました。その後、法人から個人事業となり、ミコー薬局と改名しました。
 昭和54(1979)年、古髙さんは長女として生まれます。中学生の時、『将来の夢』を語る授業があり、古髙さんは「薬剤師になる」と宣言しました。「商店街で開かれた夏祭りの際、父とお客様が嬉しそうに話をしているのを見たんです。こんなに笑顔にできて、ほっこり相談できる仕事っていいなと思いました」。
 古髙さんはその夢を叶えるべく、薬科系の大学に進みました。資格を得て東京・高円寺の漢方専門の塾に通いました。さらに塾で縁のあった静岡・沼津の老舗薬局で3年ほど修行して漢方の販売・説明などのノウハウを修得しました。平成17(2005)年、家業に入り3名体制になりました。仕事は楽しくてなりませんでした。その翌年結婚し、平成19(2007)年に長男を出産します。なんと1ヶ月で職場復帰したと言います。

同友会入会

 勉強熱心な古髙さんは、納富輝子さん((有)一柳/福友愛支部)の講演を聞く機会がありました。自社のビジョンを描いていくには、経営指針書が必要だと痛感し、経営指針書を作るためにすぐに同友会に入会しました。平成23(2011)年のことです。あすなろ塾、2泊3日の経営指針作成セミナーを受講しました。策定した経営理念は次の通りです。

一、自己の体質(クセ)を学び、病気を防ぐ!漢方予防医学、食養生を普及する薬局

一、家族の健康は、親の元気から!生涯、健康美を追求する薬局

一、地域を明るく元気にするのは子供、子連れでもゆっくり過ごせる薬局

一、スタッフ一人一人が、家族の幸せと、自分の存在価値を感じられる薬局

 なお、最後の条項は、社員が増えた際に追加しました。
 社長は『やらないことリスト』を作ることが大事だと教わりました。決算書の読み方、市場の動向を読むことの大切さなど、同友会での学びはまさに目からウロコが落ちるものでした。
 平成25(2013)年には、長女を出産します。社員も増やしました。この時には2週間で職場復帰を果たします。「体調を回復させるのは私の仕事です」と笑顔で話してくれました。

合同会社 ミコー 漢方処 ミコー薬局 スタッフ

父が元気なうちに事業承継したい

 同友会では事業承継についても学びます。様々なケースを目の当たりにしましたが、古髙さんは「父が元気なうちに事業承継したい」と考えるようになりました。
 平成28(2016)年10月、商工会主催の『事業承継計画』を親子で受講し発表しました。令和元(2019)年、古髙さんが代表で『合同会社ミコー漢方処』を設立、翌2(2020)年1月(有)ミコー薬局を取り込み事業承継が完了します。
「計画を立てること、目標を成文化すること、それを発表することで、実現できたと思います」。

そしてコロナがやってきた

 新体制になった途端にコロナ禍に見舞われます。来店者が激減しました。しかし特効薬がなかったため、漢方の需要が高まりました。在宅勤務やホテルに缶詰め状態になっているお客様に正しい情報を発信し続けました。その結果、売上実績は好調に推移しました。しかし業界では需要が高まりすぎ、さらには希少動物を使った生薬がコロナに効果があった事例が紹介され漢方生薬は値上がりし、品不足で倒産業者も出てきました。ミコーも売上減を余儀なくされました。
 令和5(2023)年5月にコロナ感染症が第2類から5類に緩和され、来店者が戻りつつあります。仕入れて売るだけでは利益は確保できないとアドバイスをもらいました。スタッフを迎えてヨガ教室など体験型の事業を始めました。漢方や料理のセミナーを事業の柱に加えていきました。「漢方・食・運動(呼吸)・心のトータルサポートを心掛けています。料理に関しては念願の料理本の出版にもこぎつけました」と語ります。

社員の採用と教育

 「スタッフを採用する際に大事にしているのは、理念を共有できることです。そして学ぶ姿勢のある人です」。漢方・東洋医学で最も大切なのは、体全体のバランスを見て弱っているところや強すぎるところをちょうどいいように調節していくことです。まず患者さんに症状を聞いたり、舌を見たり……。季節や気候、家族歴、住環境や職場環境のストレスなども配慮していきます。幅広く学ばなければなりませんから、勉強意欲のある人が求められます。それらを学ぶ一つの手段は、メーカー主催のセミナーです。会社からも補助を出してセミナーに参加してもらっています。受講後は、「会社に少しでもいいからフィードバック(どんな内容だったか報告)してくださいね」と言っています。

地域との連携

 令和4(2022)年に防災Eatプロジェクトを管理栄養士のお客様と一緒に立ち上げました。3.11をきっかけに、「食で健康を守る、具体的な活動が何かできないか」という相談を受けてすぐにNPO法人志免地域支え合い互助基金様と連携しました。『食』は命を救います。とかく「まずい」と認識される防災食を専門家のアドバイスをもとに「おいしく」作ろうという趣旨です。
 漢方に限らず、様々な相談に乗るミコー漢方処です。地域の人からは「何かあったら、ミコーに行け!」とまで言われるようになりました。

会社でやりたいと思っていたこと

 同友会で学んでやりたいと思っていたことは、月1回の有給休暇の取得です。「病院行くから休みます」というのではなくて、「忙しい時に休んだとしても、英気を養い次に頑張ろう、心豊かになる時間を過ごそう」という趣旨の休みです。これも有言実行で実現されています。
 もう一つは、スタッフ全員での社員旅行です。これもかなり前から提唱し続けていました。令和5(2023)年5月に研修を兼ねて北海道に行くことができました。これから向かう方向性が明確になったと言います。

夢を叶える方法

 「同友会で、夢を叶えるにはとにかく口に出して言え、と言われて実行しています」。確かに「叶える」という漢字は「口」に「十」と書きます。「十」=「たくさん」につながります。(また、「十」は「集」にも通じると角川大字源から引く)。情報を発信し続ければ、それに呼応した情報・ヒントが集まってきます。また口から発信された言葉は一番近い自分の耳が聞いており、意識の中に刷り込まれます。だから夢が叶うのです。
 古髙さんも「薬剤師になりたい」「父親が元気なうちに事業承継したい」「心豊かな有給休暇を取りたい」「社員旅行したい」と事あるごとに口にしてきて実現させています。
 「次なる夢は、アレルギー体質の根本改善で人生が変わった!という人を増やすこと、です。特に子供のうちに体質改善を行うことで、家族の人生まで大きく変わります」と語ります。

漢方相談

漢方薬とは

 古髙さんに改めて漢方薬とはと聞いてみました。「薬草や動物性生薬を使って病気を未然に防ぐもの、老化を防ぐもの、西洋薬の副作用を軽減するもの。病気の部位を細かく診断していく西洋医学に比べて効き目は穏やかですが、慢性病の改善には効果的です。即効性というより、じわじわ効いてきます。同友会の学びと同じですね」と笑顔で語ります。
 取材の最後に古髙さんの考える自立型企業について伺いました。
 「物事を考えるモノサシをしっかり持っている社員がいる会社、そういう社員を育てる会社でしょうか。同友会をはじめ、いろいろなところで学びを深め日々研鑽をしていかなければならないと思います」と締めていただきました。


 取材協力ありがとうございます。

合同会社 ミコー漢方処

創業 1975年
住所 糟屋郡志免町志免3-1-6
電話092-935-3960
従業員数4名
事業概要 漢方薬・温灸・レオピン・リスブラン化粧品販売。地域住民の健康を守る漢方養生セミナーの開催。
URLhttps://www.miko-kanpo.com

取材/広報部 
文章/菅原 弘(東支部)
写真/富谷正弘(玄海支部)

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