第125回景況調査(2023年4月~6月期)報告書

「景況感は期待ほど上がらず。次期予測に回復の見通すも、 仕入高騰・価格転嫁難、人手不足・採用難と足元に課題あり」

〔概況〕 

2023年4~6月期は景況感・売上高・利益・新規受注いずれのDI値も悪化しましたが、次期予想DI値は1~3月の前期からさらに上昇する結果となりました。前回調査では新型コロナの第5類感染症への移行による「人の動き」の回復の見通しから、次期見通しDIは大幅改善していたものの、4~6月期の景況感は期待ほど上がらなかった状況です。 経営上の問題点では、原材料高騰、仕入れ単価上昇、人材獲得難、従業員不足が前回と同じく上位四項目となっています。業種別では、製造業(生産財)と(消費財)はともに原材料等の高騰や仕入単価上昇の問題点の回答が多く、民間需要の停滞も引き続き回答数が多い現状です。人手不足・人材獲得難は全業種で多くの回答が見られました。

新型コロナの第5類感染症への移行により「人の動き」の回復などへの期待感や、コロナ禍の次期見通し不透明感は大きく改善している様子が見えるものの、足元には仕入れ高騰や価格転嫁難、採用難や人件費上昇などの利益を上げにくい経営環境の課題があるとみられます。

従業員状況では「人材不足である」が半数近くを占め、引き続き、人材不足の課題が深刻です。新卒採用は「採用なし」が83%と、新卒採用活動をしていない、もしくは新卒採用活動をしても採用できていない状況も見られます。物価上昇に伴う賃上げが大きなトピックスとなっていますが、賃上げの状況は「月額給与で賃上げする(した)」との回答が、全体の6割でした。また、資金繰りDIは「余裕あり」との回答が若干減少しており、今後の新型コロナウイルス特別貸付の返済時期に差し掛かる影響が危惧されます。

経営指針書の作成と実践の成果では、「作成し、実践している」と回答した企業は景況感DI、利益DIを始め、ほとんどのDI値がその他の回答に対し高い値を示しており、経営指針を作成して実践することの重要性を改めて示しています。景気循環は改善を見せています。従来の売り方や商品にいかに付加価値を加えるかを考える必要があります。人材獲得のためにも、社員の待遇向上のためにも、収益を確保し高めることが問われています。

第125回景況調査報告書.pdf

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