第124回景況調査(2023年1月~3月期)報告書

「景況感はほぼコロナ前にもどる。 コロナの影響は脱しつつあるも、人手不足は深刻に。
科学的に状況を把握し、次に備えよう。」

〔概況〕

 2023年1月~3月期は全てのDIが上昇し、コロナ前の値を上回る結果となりました。

 景況感DI、売上高DI、利益DI、新規受注DI、次期予想DIともポイントが上昇した一方、今回も利益DIのみマイナス域にとどまりました。コロナの影響を脱しつつある様子が伺えますが、依然として売上げに利益が伴ってない状況にあります。

 業種別では、商業施設や観光地などへの人出の増加が感じられるように、商業・流通業、サービス業(対事業所)、サービス業(対個人)は好転が見られました。一方で製造業(生産財)と建設業は厳しいという結果でした。全体的に景況感は戻りつつあるも、業種により温度差があります。

 従業員別では、全体としてはプラス域にありますが、従業員規模が小さくなるほどDI値は小さくなる傾向が見られます。特に利益DIに表れています。

 経営上の問題点は、原材料高騰、仕入れ単価上昇、人材獲得難、従業員不足が前回と同じく上位四項目となりました。人材獲得難と従業員不足の増加は前回に引き続き上昇し、原材料高騰、価格競争激化、値上げ要請は数値が低下を示しました。製造業(消費財)は原材料等の高騰や仕入先からの値下げ要請が強く、建設業(建築)は熟練技術者の確保難や協力業者の確保難が見られ、建設業の他の分類でも熟練技術者の確保難が見られました。

 価格転嫁の状況は、「価格転嫁できている」と回答した企業は2割足らずにとどまり、いまだに多くの企業で価格転嫁が遅れています。

 経営指針書の作成・実践と景況感の関係については、「毎月検証している」の景況感DIが伸び、「作成する必要はない」の景況感DIが大幅に下がり、顕著に二極化しました。

 景況感はほぼコロナ前にもどるという結果となりましたが、仕事量が増えて、人手不足、人材確保がより大きな課題となってきています。雰囲気に惑わされることなく、科学的に(数字的な根拠を基に)状況を把握し、人を生かす経営の実践で選ばれる企業づくりを進めましょう。

第124回景況報告書(PDF形式)

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