会員の皆さま、こんにちは。
日々それぞれの現場で、社員と地域を守りながら、経営の改善に取り組まれていることと思います。

経営は、ともすると「正しい/間違い」の勝負になりがちです。最終責任者である社長が判断し、決める。これは避けられません。
けれど私は、同友会が掲げる「よい会社をめざす」「よい経営者になろう」「よい経営環境をめざす」という三つの目的を思い返すたびに、もう一段深い“分かれ道”があると感じます。
それが、社長の 「教わる力」 です。
反対意見の中に、経営のヒントが落ちている
先日ある雑誌を読んでおりましたら、サイバーエージェントの藤田晋さんが「社内のクーデター騒ぎ」から学びを得た、という趣旨のコラムがありました。
読んでいて大きな会社でもいろいろあるのだなと思いながら、藤田会長の考え方も面白く読みました。私が読んだ藤田会長の考えとは、「汝の敵を愛せよ」ー他者への愛でした。
普通なら、反旗を翻した相手は「敵」として処理して終わりです。腹も立つし、感情も動く。
そこから学ぶなんて、きれいごとに聞こえるかもしれません。
しかし本質は、「誰が言ったか」ではなく、何が言われたか(中身) を見にいく姿勢です。
同友会が呼びかける「謙虚に学びあい、高まりあい、総合的な能力を身につける」という姿にも、まさに通じます。
「格上」よりも、現場の声から伸びる社長がいる
多くの経営者は、著名な経営者や専門家など、いわゆる“格上”から学ぼうとします。もちろん大切です。
ただ、伸び続ける会社ほど、学び方が雑食です。
- 若手の一言
- 取引先の率直な指摘
- 社内の反対意見(耳が痛いほど価値がある)
こうした「現場の情報」を、社長が受け取れる会社は強い。
なぜなら、社長の盲点は、だいたい“反対側”からしか見えないからです。
そして盲点は、静かに数字へ出ます。
改善のスピードが落ち、ミスの発見が遅れ、会議が形骸化し、採用が難しくなっていく——。こうした“組織の硬直”は、必ず経営の足腰を弱らせます。
「教わる力」を育てる、3つの小さな習慣
ここからは、私たち中小企業の現場で使える形に翻訳して、3つに絞ります。
1)相手の主張を「中身だけ」で見る
感情や立場は脇に置いて、確認するのはこれだけです。
- その主張は事実に基づいているか
- 数字や根拠の取り方は妥当か
- 論点はどこか(論点ではないものは何か)
反対意見ほど、「情報」の形で宝が混じっています。
2)結論より「準備の質」を評価する
結論が気に入らなくても、データを集め、論理を組み立てているなら、そこには学びがあります。
準備の質が上がる会社は、仕事の再現性が上がり、運に左右されにくくなります。これは黒字体質そのものです。
3)学んだことを「即・小さく」入れる
大改革はいりません。小さく、早く。
- 会議の議題の順番を変える
- 週次の数字の出し方を変える
- 報連相のルールを一つだけ変える
小さな改善を回し続ける会社は、社員の参加が増え、社長一人の判断に依存しない「強靭な経営体質」に近づいていきます。
ひとつだけ注意。「冷える言い方」は、情報を止める
教わる力とセットで、社長がつい言ってしまいがちな“冷える言い方”があります。これは本当にもったいない。
- 「で、結局なにが言いたいの?」
- 「それ、前も言ってたよね」
- 「まあ、でもさ……」
社長が欲しいのは「情報」のはずなのに、言い方ひとつで情報が上がらなくなる。
同友会が大切にしてきた「自主・民主・連帯」の精神は、組織の自浄力を高める、とされています。
社内でも同じで、声が上がる空気が、会社の自浄力になります。
結びに:学びの種は、社内と仲間の中にある
「教わる力」は、知識量の勝負ではありません。
学ぶ相手を選ばない。中身だけを見る。良いものは取り入れる。
この積み重ねが、社員の発言量を増やし、改善を増やし、ミスの早期発見を増やし、結果として数字を強くします。
もし最近、
「会議が静かだ」「提案が減った」「同じミスが続く」
そんな兆しがあるなら、まず社長が一回だけ、“中身だけを見る” をやってみてください。
そして、悩みを一社で抱え込まず、例会や学びの場で言葉にしてみませんか。
私たちは、経験と知恵を交流し、互いに高まり合う仲間です。
今月も、ともに学び、ともに実践していきましょう。