経営指針書「我社の場合」(有)オゴウ・コントラクト 取締役社長 小河雅道 氏

経営指針書を作成された方へのインタビュー

有限会社オゴウ・コントラクト 取締役社長 小河雅道 氏

「私たちの目指すところは『安定して利益を出し続ける会社』です。5年間、利益を出し続けましょう。その為には経営理念と基本方針を経営活動の中心に据え、自分自身の行動に表現し、自ら成長できる1年にしましょう。」(一部省略)

経営計画書の冒頭で、このように小河氏は社員さんに宣言されています。会社の目標を、経営計画書に基づき、全員で目標を共有し、経営計画の実現を目指すことを掲げられています。今回、小河氏に経営指針書についてお話を聞くことができました。それではどうぞ!

 小河氏(理念)

有限会社オゴウ・コントラクト

業務内容:各種シュリンク包装、化粧品のセット加工、健康食品の充填・包装、食品の包装加工、ギフト商品のセット加工、封入加工

正社員:2人、パート:51人

 

経営理念

1.お客様の気持ちを大切に
お預かりした原料、資材を大切に
心をこめてものづくりに励もう。
(お客様に感謝し、感謝される工場であろう)

2.信頼し、信頼される人造りの場であろう
(ありがとうと素直に言える人でありたい。お客様との信頼関係、
社内での信頼関係、地域との信頼関係を築く為に
一人一人が自分の持ち場で責任ある行動を取ろう。)

3.仕事を通じて、自らが成長し、精神的に、経済的に
豊かな人生を送ろう。

 

【作成前の段階】

①     経営指針書作成のきっかけ、指針書作成にいたった経緯

はじめは「理念」とか「指針」とか、何だろうと思っていたし、感覚がなかった。それがわかるようになるまで、ずいぶん時間がかかった。やっぱり、目先の仕事に専念した時期が何年も続いた。

2003年に同友会に入会。

2004~2005年ごろから指針書を作り始めた。当時の4回コース(月1回)に参加した。

2009年までは順調に売上を伸ばしていたので、指針書を重視していなかった。

2010年 だんだん会社の状態がおかしくなってきた。

2011年 指針書をもう一度見直そうと思った。あらためて指針書の大事さをわかった。指針書に従っていれば理想の姿になるはず。そうならなければ、指針が間違っていて、何かが違っているということだ。大きな出来事が重なったこの年、経費の無駄を無くすようにした。その経費は、今本当に必要なのか?人の動きに無駄はないのか?などといった視点で経費の見直しと新しい経費のルール作りを行った。そして最も大きな無駄(お金・時間・ストレス)であるクレームをゼロにすることを決心し、対策を講じ始めた。その結果、お客様の厳格な査察をクリアーできるシステムが出来上がった。実行すれば結果が得られる事を実行せずにいた・・・ただそれだけのことだった。

 

②     作成するにあたって、どんな方に影響をうけましたか?

シーエススチール(株)の松原氏(同友会かすや支部)に影響を受けました。

(株)△□○(ミヨマル)の福田氏に見せてもらって、できないならマネしたほうがよい、ちょっとかえて作りました。

 小河氏(経営計画書)

【作成の段階】

③    経営指針書を作るときに大変だったこと、苦労したこと

経営理念は3つ作りましたが、3番目の理念はパートさんにはそぐわないので、みんなの前では1,2番目だけ使うことにしました。今の理念はパートさんに分かりやすいものになっています。

 

④    経営指針書を作るときに工夫したところ

考えただけではダメで、いろんなやりとりがあって、自分なりのものができた。

 

【作成後の段階】

⑤    経営指針書を作って感じた事、自身の中で起きた変化

指針書を作って精神的な考えが回復基調に戻れた。指針のことを手を替え品を替えやってみた。

まだ足りない・・・、実行する上での基本的な考え方(行動指針)と行動が結びついてない。私の最後の決意は『経営理念』に立脚した経営を行おうという事であった。

 

⑥     経営指針書作成後の会社の変化

社員にズバっと注意できるようになった。組織が強くなる気がする。実感がある。大事なところはみんな同じ考えでやろうと思うようになった。うれしいことにクレームが極端に減った。

袋詰め作業は、月間で40~50万個、年間で500万個している。その中で作業ミスは5~6個しかない。自然とそうなった。パートに手を替え品を替え話すことにしている。朝礼でお客様の状況を話すときにどこで売られているか話している。どんな売り方をされているのかをパートさんがイメージできるようにしている。そうするとパートさん達は、自分達が作業したものをイオンに見に行って確かめている。

理念をお経のように毎朝言ってることと、それだけではだめで、何か起きたとき、その都度「こうしたいと思っている」と話している。

今、不思議なくらい大きなクレームが起きなくなった。社員達は同じ気持ちで同じ仕事をしてくれるようになった。社員には同じ事を同じように言うことが大事。だから、自分自身にたたき込んどくしかない。

経営理念にある考え方に忠実に行動し、気持ちを込めてお客様に仕入先に接していこう。人に信頼され、信頼できる人間関係を社内外問わずに作り上げていこう。私自身も勉強のために新しい人との出会いを求めて行動した。それから数年の時間が経過し、感謝の気持ちや信頼関係を積み重ねて、ようやく利益という形で成果が表れ始めたのではないかと思う。

 

【皆様へのメッセージ】

⑦    経営指針書を作成していない方へのメッセージ

でききるだけわかりやすいものを。

「目先の事」をこなしていたら、それは「理想やゴール」につながっている・・・この接点ができているかどうかが大事。

 

⑧    自社の経営指針書の特徴

『戻れる場所』

悩んだとき、目先が見えなくなったときに戻る場所。

 

【編集後記】

お昼休みから午後の就業時間にかけて工場を見学させていただきましたが、お昼休み中は、元気いっぱいの女性スタッフ達が各自自由にわいわいがやがやしていたのですが、午後の仕事が始まると、工場内やクリーンルーム内でシーンとして、黙々と作業に集中されていました。このギャップに驚きました。スタッフ達なりにメリハリとけじめをしっかりつけているのだと思いました。行動を統一すること、作業内容や姿勢を統一できていることは、小河氏が、何かある度に話をすることを大事にしているからだと思います。そのように話をする小河氏も話がブレないように、理念を自分自身に入れ込んでいるのだと思います。

小河氏の経営計画書は、経営理念から始まり、今期の目標、社員からの目標に対する宣言文、実行計画、基本方針から成り立っています。基本方針が充実しており、わかりやすく書いてあるので、行動をする上での迷いがないようになっています。社内で手を替え品を替えやってこられた結晶のように感じます。(岡本健一)

 

あすなろ塾・経営指針作成セミナー

2015年4月16日