令和5年2月3支部合同例会

令和5年2月度例会が、2月20日(月)直方のエクセレントガーデンにて飯塚・田川・のおがた支部の3支部合同で行われました。

報告は、広島県中小企業家同友会福山支部の株式会社日鐵鋼業、代表取締役である能登伸一氏による「経営者の責任と覚悟」と題しまして行われました。

能登氏による報告の様子

同友会歴32年の能登氏は、1990年の入会以来10年間は同友会活動の参加に積極的ではなく、ご本人曰く不真面目会員であったといいます。そんな能登氏ですが、2000年の地区会長就任をきっかけに同友会活動に目覚めたそうです。

同友会に入会する前の日鐵鋼業は、一言で言うと暗い、何もない会社でした。特に従業員と経営者の距離は遠く、能登氏が専務になったときに主要な従業員2人と食事会を開き、会社について尋ねてもあまり口を開かなかったそうです。そんな従業員に、この食事会で話したことは誰にも言わないから何でも言ってくださいと諭したところ、従業員からは給与、休暇、そして社長である能登氏の父親への不満が次から次に噴出し、聞いている能登氏は情けなくなったといいます。このエピソードは能登氏が会社を変えることを決意した一つのきっかけになりました。

その後、同友会に入会し、日鐵鋼業では代表取締役に就任します。2000年には同友会の地区会長に就任し、このころから同友会への参加意識が高まって行きました。経営指針書の作成にも着手し、入会14年目、2度目のトライアルでやっと完成したそうです。

2010年には福山支部の支部長に就任します。支部長就任の所信表明では、幸せの国ブータンで注目されたGNH(国民総幸福量)を引用し、スローガンとしました。このスローガンは広島同友会でも評判がよく、他県会での講演依頼もあったそうです。

福山支部でこのようなことを掲げている以上、自社でも取り組まなければならないと考えた能登氏は、日鐵鋼業でもGCH(企業内総幸福)の取り組みを始めます。日鐵鋼業GCHの三本柱として①会社の見える化②聞くコミュニケーション③社員への還元を掲げ、自社の変革に取り組みました。①会社の見える化により、会社を自分ごととして捉え、従業員一人一人の自主性を発揮してもらう、②聞くコミュニケーションにより従業員の不満を最小化する、③社員への還元は、会社の利益は従業員含め全員のものだという考え方で、決算賞与や福利厚生を充実させる、休日を増やし働きやすい職場へと改善していきました。この取り組みを続けた結果、従業員の自主性が発揮でき、儲かる会社へと変革されたといいます。従業員も会社にほこりが持てる、そんな会社へと進化をとげました。②聞くコミュニケーションでは、開発会議を取り入れ、ざっくばらんに話し合いができる場を構築したところ、業績向上の成果につながっているといいます。

さらに同友会のおかげで、能登氏ご自身では不可能だと考えていたことが2つ実現したそうです。一つ目は新卒採用です。同友会の求人社員教育委員会で勉強し、新卒採用につながり、今年の4月には高卒予定者4名が入社予定とのことです。二つ目は特別支援学校卒業生の雇用です。2014年に1名入社しましたが、やりがいがないという理由で1年で退社されました。その後また1名入社しましたが、やはり最初はなかなかうまくいかなかったとのことです。しかし、試行錯誤の末、結果としては6年たった現在でも在職中で、戦力にもなっているそうです。2人には共通点があり、だれとでも仲良くなれる素直さを持ち合わせています。これは他の従業員にも能登氏ご自身にとっても見習うべき点だといいます。

真剣に報告を聞く参加者

以上の報告を聞いて、全10グループによるグループ討論会が開かれました。テーマは「あなたにとって経営者の責任とは何ですか」です。

討論後の発表では、「今は従業員をやとってはいないが、一緒に働いてくれる人がいるのは心強い」「経営者が幸せであることが従業員の幸せにつながる」「現在は社員のやりがいや収入など社員に対して責任を果たせていない」「会社をつぶさない事、資金調達が社長の一番の責任」「自社の幸福度をあげる」「言行一致で責任を果たす」「社員の話をしっかり聞き、社長は自分自身が一番熱く取り組まなければならない」「地域なども巻き込んで、熱く立ち回るのも社長の役目」などの発言が出ており、能登氏の報告を聞いた参加者さんたちは、心なしか熱くなっているように見えました。

まとめとして、能登氏にとって経営者の責任と覚悟は、同友会で学んだ人を生かす経営の実践だと言います。一つ目に、社長は事業意欲を持ち、素直な気持ちで即実践、経営を維持し発展させる責任がある。二つ目に、原因自分論として、他に原因を求めない、その場にいない人の批判はしない。三つ目に言行一致で、経営理念に誰よりも忠実であること、公私混同をしないこと。これらを実践し、日鐵内総幸福の成果につなげています。

まとめを語る能登氏

経営者と社員。役割、立場は違っても、対等な人間である。社長の一番の仕事は社員をやる気にさせること。この能登氏の言葉に、今回の報告で感じられた会社や従業員に対する思い、暖かさが込められているように思います。

座長のまとめでは、座長を務めた、のおがた支部副支部長である福豊興産コンサルティング株式会社取締役、村田龍二氏より、報告を聞き、能登氏が言う人と人とは対等であるという言葉について、このことが実践できれば会社の目標とするところに早くたどり着けるのではないであろうかと感じたとの熱い感想で例会をしめていただきました。

報告者の能登氏と座長の村田氏

2時間半の例会でしたが、本当にあっという間に過ぎて行きました。3支部会員、他支部会員、ゲスト、約60名の参加者のみなさまは、能登氏の報告を熱心に聞いておられました。

グループ討論会も大いに盛り上がっていたように見受けられました。

このような素晴らしい例会が開かれたことは、報告者の能登氏をはじめ、運営に尽力してくださった3支部担当者のご尽力があったからに他なりません。あらためてお礼を申し上げます。

記事作成者

行政書士藤田俊雄法務事務所 藤田俊雄

2023年2月22日

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