働くことを人生の転機に-(株)プロデュース-

中原 亜希子氏

入居者の家族のケアまで

 (株)プロデュースは、北九州市で認知症特化型のグループホーム、小規模多機能ホーム、デイサービスなど6事業所を展開する会社です。同社の強みは“介護のワンストップサービス”と“家族に寄り添った介護”です。介護には訪問・通所・入所といった種類があり、サービスに応じて施設が変わります。同社ではその全てのサービスを提供しているため、利用者が施設を変える場合でも、スタッフ同士で情報が共有され、移動先でもそのまま利用者の特性に応じたサービスを提供することができます。特に小規模多機能ホームは、通所、訪問、宿泊の全てができる施設です。いつもは訪問介護でも、家族が病気になったなどの理由で一時的に宿泊に変えることもできる汎用性の高い施設です。これはグループホームやデイサービスと比べると数も少なく同社の強みともなっています。
 また、同社の特徴は家族に寄り添った介護です。介護には家族のサポートが必要不可欠ですが、ときに家族に精神的な負担がかかることも少なくありません。そこで入居者だけでなく、その家族にも寄り添い、悩みや相談を親身になって聞くことで、家族のケアまでできることが最大の強みです。

子どもの足音が聞こえるグループホーム

 同社では、子どもを持つ親が安心して働けるよう子連れ出勤を可能としています。子どもが集まるスペースがあり、そこで大きい子が小さい子の面倒を見たり、一緒に宿題をしたりしています。
 子どもを持つ親が働きやすいようにと始めた取り組みですが、利用者や子どもにとっても良い影響が出ています。利用者にとっては、グループホームが家のような感覚になれるということです。施設の中は、グループホームとは思えないほど子どもの走り回る足音が響き渡っています。それはまるでおじいちゃん、おばあちゃんの家に孫が遊びに来たような感覚です。これが利用者にとっても安心感ややすらぎに変わっています。
 また子どもにとっては、利用者と接することで子どものコミュニケーション力向上にも繋がるということです。前述のように利用者には認知症の方が多くいらっしゃいますが、大人でも認知症の方とどう接すればよいか分からないこともあるかと思います。しかし、子どもの頃から接することで実体験をもって認知症について理解することができます。このように子連れ出勤は、働きやすさだけでなく、利用者の安心や子どもの成長にも繋がっています。

多様性=違いを力にできる組織

 中原さんにとって多様性とは、「違いを力にして新しい価値を生み出すこと」と言います。人はそれぞれ違いがあり、その違いを表に出すことで課題が見え、それを解決することで新たな価値が生まれます。だからこそどんな人でも採用するという意識を持っています。実際に同社には障がい者、外国人、70歳を超えるシニアの方など多様な方が働いています。また最近ではソーシャルスキルに課題があり、転職を繰り返すなど社会で働くことが難しい方も採用しています。採用時の適性検査で、その人の課題を知りその支援の方法を考えます。最初はなかなかうまくいかないこともありますが、その人にあった教育を続け、その人の変化が見えた時、自分たちのしてきたことが間違っていないと実感できると言います。この過程が会社にとって価値あるものではないでしょうか。実際に多様な社員がお互いを理解するために、寄り添う教育があるからこそ前述の家族に寄り添った介護が生まれました。
 中原さんは、「自社で働くことを人生の転機にしてほしい」という想いを持っています。今までの環境によって本来とは違う自分になっていたり、どんなハンディがある人でも本来の自分に気づくことで輝ける。(株)プロデュースが本来の自分を取り戻し、働くことが人生の転機になれる場所になることを目指しています。

利用者とスタッフの子どもの交流

▶ 創業
2003年10月
▶ 会社所在地
北九州市八幡西区本城東1-11-27
▶ 電話番号 
093-695-3850
▶ 社員数
110名(正規40名、パート70名)
▶ 事業概要
認知症対応型共同生活介護
小規模多機能型居宅介護
認知症対応型通所介護
居宅介護支援事業所
ホームページ
https://www.pro-kirameki.com/page1

2023年2月13日

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