経営指針書「我社の場合」 ㈱アビリィテイ・キュー 代表取締役 貞池龍彦 氏

 今回は、私のインタビューのお仕事の前任者である株式会社アビリィテイ・キューの貞池社長にインタビューしました。それでは、どうぞ! 

 

【作成前の段階】

①     経営指針書作成のきっかけは?

まだ前職のときに奈良同友会の同業の社長さんから、「経営指針書作ってあらへんの?そんならこれあげるわ。」と言っていただいたのが、その会社の経営指針書。この指針書をみると会社のビジョン、年度の方針、経営計画、会社のルールなどが詳細に記載されていて、これ一冊あれば会社のことがだれでもすべて理解できると思った。それと同時に同業者にこのような企業秘密の書類を渡す同友会とはなんとすごい団体かと感銘し、自分が会社を起こす時は経営指針書を作ろうとその時に決意した。

②     作成するにあたって、どんな方に影響をうけましたか?

・やずやの先代社長 起業のときに、作り方がわからなかったので矢頭社長に教えてほしいとお願いをした。すると、朝礼から参加をしなさいと言われ、朝礼に参加をし、やずやの指針書を見せていただきながら、作り方の要諦を教わった。帰りに見本をいただいた。同友会ってほんとにすごいとここでも思った。当時、矢頭さんは代表理事。それから2年度、決算書ができて志賀島の経営計画書作成セミナーに参加をした。

 

【作成の段階】

③     作成指導は受けましたか? 例)あすなろ塾、指針書作成セミナーに参加されましたか?

理念については、もといた会社のものを引き継いだ。「人と企業のかけはし」求人情報誌の使命はここにつきると考えていた。ただ、企業ドメインを考えた時に、わたしたちの喜びをすなおに表現した「笑顔が大好き」に3期あたりから変更をした。指針書そのものは志賀島に参加をして多くの先輩たちの指針書を参考にして作り、それを期を追う毎に見直しをしてきた。

④     経営指針書を作るときに大変だったこと、苦労したこと

やはり、計画通りに進まないことが多い。特にACA計画という壮大なビジョンを打ち出したが、単なる数字を描いた計画では絵に書いたモチにしかならないことがよくわかった。また、社員に浸透をさせることがとても難しいと今でも思っている。

 

⑤     経営指針書を作るときに工夫したところ

特に工夫はしていない。最初は冊子にしたが、途中からバインダーに変わり、今は社内のデータセンター(共有ファイル)に入れてだれでも見れるようにしている。

 理念(貞池様)

【作成後の段階】

⑥     経営指針書を作って感じた事など、ご自分の中で起きた変化はありますか?

起業したときから作っている。時代の変化を受け止めながら、指針書づくりをしている。今は業界にとっても転換期だが、どのようにキャッチアップすればよいか、悩みの段階。

 

⑦     経営指針書を作って、会社で起きた変化はありますか?(社員の意識の変化や業績の変化、社外取引先など)

どんなに厳しいときでも必ず指針書を認め、経営計画発表会をし続けてきた。あるときはホテルで開催したり、厳しいときはみかん箱の上に乗って。そのたびに社員の安心感と結束力が高められてきたと思っている。

 

⑧     経営指針書の存在感や重要性など、経営指針書に感じるものはありますか?

常に自分と向き合うために必要だと思っている。時代の変化、情報を受け取る人たちの変化、産業の変化、地域の変化、メディアの変化、様々に変化する情報社会に目を行き届かせることが求められると思います。その点でも、同友会の例会などとても生きた情報となります。

 

【皆様へのメッセージ】

⑨     経営指針書を作成していない方へのメッセージをお願いします。

ふだん、口に出していることを紙に書いてみる。そこからスタートしてはどうでしょうか。一人のほうがやりやすい。奥さんと二人だったら二人で相談してみる。従業員が少なければ、社員に聞いてみる。「うちはどんな会社だと思う?」「お客様に対してふだん俺はどんなふうに言ってる?」など。

 

⑩     自社の経営指針書の特徴 (指針書とは、一言で言えばどのようなものでしょう?)

常に未完成!

 指針書表紙(貞池様)

 

【編集後記】

貞池社長、インタビュー記事を書いていただき、ありがとうございました!
私はお写真を撮っただけになりました。

貞池社長も言われているように同友会の先輩方からは、経営指針書の作り方をはじめ、経営や人生に関する多くのこと学び、受け継がれています。

それは、経営コンサルタントの指導とは違った意味の、経営の経験者による体験談であることが、とても自分にとって参考になり、吸収しやすいのです。

あすなろ塾に参加しても感じることですが、高額な報酬を払っても、納得のいく経営計画書を作れなかったが、あすなろ塾に参加し、先輩方の助言や体験談を聞くと、「腑に落ちた」という印象を持つ参加者が多いです。

経営の考え方の承継、体験談の引き渡し、これが同友会にとって大事だと思います。
あすなろ塾スタッフや経営指針作成セミナーの講師やスタッフは次のように言います。

「先輩から習ってよくなったので、恩返しではなく、恩渡しをしたい。
恩返しはならった先輩に返すものですが、そうではなくて、先輩から習ったことは、新人会員へ渡すことで、恩返ししたことになる」 このようなところにも同友会の伝統があるのだと思います。 (岡本健一)

 

あすなろ塾・経営指針作成セミナー

2015年2月26日