第9回経営実態調査報告書 (2026年7月~9月期)

「持ち直しの兆しがあるも、業種別の業況差は拡大
現状維持は最大のリスク。事業を見直し、利益を残す経営へ」

〔概況〕 回答総数447件

今期業況判断DI(前年同期比)は、前回調査から3ポイント上昇して「-3.6」となったが、2期連続でマイナス域だった。また、次期業況判断DI(前期比)も前回調査から10.8ポイント上昇し、「26.2」と改善見通しが広がった。これらの結果から、今期の県内会員中小企業の「景況感は全体として持ち直しの兆しがあるものの、全面的な回復ではなく『偏りを伴う持ち直し』」という見方が出来ると言える。

一方、「売上高DI(前年同期比)」は微減で、DI値は「10.6」と横ばいで推移した。「売上減少の理由」の最多回答は前回に引き続き「国内需要の減少」で37件(n=102件)、また「営業の弱体化」が同率1位で、およそ3社に1社が要因となった。また、採算DI(前年同期比)は前回調査から5.9ポイント上昇し、「9.9」へ改善した。採算が悪化した86社のうち、7割近くの60社が「売上数量・客数の減少」を主な要因として回答。「原材料・商品仕入額の上昇」が33社で2位、「人件費の増加」は28社で続いた。いずれも5期連続で4割近い企業が利益圧迫の要因として挙げており、コスト負担の増加が依然として経営を圧迫している状況がうかがえる。関連して、仕入単価DI(前年同期比)は4.5ポイント低下したが「54.2」、次期見通しDIも6.6ポイント低下したが「48.1」といずれも高水準であり、仕入価格の上昇は続くと予測される。コスト上昇への対応だけでは採算を守り切れず、顧客数・販売数量・受注案件を確保する力が、改めて問われる。

業種別には、製造業・建設業に改善が見られたが、個人消費にかかわる小売業・対個人サービス業が更に悪化し、業種ごとの業況差が顕著になった。

経営上の問題点は「仕入単価の上昇・高止まり」の回答割合は136件、30.4%と4期連続で1位となった。次いで「人件費の増加」は前回(25.0%)より回答割合は低下したものの、前回に続き2位となった(98件・22.0%)。また、2期連続で「同業者相互の価格競争」が3位となった(78件、17.5%)。なお、「従業員不足(109件、17.9%)」は前回よりさらに低下して60件、13.4%で6番目の回答割合、課題の比重としては低下しているが、人手過不足DIは前回調査比で1.5ポイント低下にとどまり「-36.0」と、人手不足感は依然として強い。かわって「民間需要の停滞」が6位から72件、16.1%と4位へ浮上した。

分析会議においては、中小企業白書で「経営環境の転換期において現状維持が最大のリスク」として提起されている通り、賃上げの原資確保や金利のある世界への移行などの時代変化に対応し、「攻めの企業変革」が求められていることが議論された。人手不足の現状で最大限にAI活用や人材戦力化、価格転嫁、ビジネスプロセスの見直し、付加価値増大だけでなく価格転嫁の戦略が求められることなどが意見された。

〔外国人雇用に関する特別調査〕

調査回答企業446社のうち、現在外国人を雇用している企業は89社(20.0%)だった。雇用形態別では「特定技能」が32件と最も多かった。外国人雇用のきっかけは「日本人の採用が難しかったため」が38.3%と最も多く、次いで「事業を維持・継続するため」が18件(22.2%)となり、深刻な人手不足が背景だと窺えた。
 外国人雇用による良い変化としては、「人手不足が緩和した」が28社(45.9%)で最も多く、また「日本人社員への良い刺激となり、職場の活性化につながった」が22社(36.1%)など、職場環境の改善を実感する企業も一定数みられた。一方、最も多かった「人手不足が緩和した」について回答は半数に届かず、効果の実感には企業間で差があるとみられる。一方、外国人雇用に関して最も多かった課題は「日本語能力(業務上のコミュニケーション)に課題がある」で、31件(50.8%)と半数を占めた。また「採用・教育・支援にかかるコストが大きい」も13件(約5社に1社)となり、費用負担も課題となっていることが明らかになった。

※DI(ディフュージョン・インデックス):企業の業況感や設備などの各種判断を指数化したもので、景気局面などの全体的な変化の方向性や各経済部門への波及度合いを把握できる「拡散指数」です。計算式(百分率表示)DI = (プラスの構成要素の数(「よい」など)-マイナスの構成要素の数(「悪い」など)) / 構成要素の総数×100

第9回経営実態調査報告書(2026年7-9月期).pdf

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