
「AI? Chat GPT? 正直、現場が忙しくてそれどころじゃない」
「うちのような地方の小さな会社に、最新技術なんて関係ないでしょ?」
日々の資金繰りや現場管理に追われる中で、そう感じていませんか?
しかし、先日福岡同友会りょうちく支部で開催された「経営AI支援勉強会」に参加して、その考えは少し危険かもしれないと感じました。
講師の柿元氏が語ったのは、単なるツールの使い方ではありません。「2040年に訪れる確実な未来」と、私たちが生き残るための「武器」としてのAI活用術です。
今回の勉強会で得られた、地方の若手経営者が今すぐ知っておくべき「経営課題解決のヒント」をシェアします。
1. AIの衝撃は「Google検索」登場以上
「インターネットやGoogle検索が出てきてから25年、この四半世紀で伸びた会社でインターネットやGoogle検索の力を借りずに成長できた企業がありましたか?」
講師の柿元氏のこの問いかけに、会場は静まり返りました。
2000年頃、Google検索が登場しました。それからの20年間で急成長した企業のほとんどは、ウェブマーケティング(検索対策)を徹底しています。逆に言えば、それを無視して伸びた会社はほぼありません。
現在、私たちはそれと同じか、それ以上の転換点に立っています。
「AIを使うか、使わないか」。この選択が、これからの企業の明暗を分ける大きな分岐点になるのです。
2. 2040年問題:労働生産性を「1.6倍」にせよ
なぜ今、AIなのか? それは「人手不足」が待ったなしの状況だからです。
2040年には、地方では物流が止まり、生活が困難になるレベルの人手不足が予測されています。建設、運送、医療などの分野では、深刻な供給不足が発生します。
この危機を乗り越えるための数字、それは「労働生産性の1.6倍向上」です。
“社会全体としてこの人手不足を補うためには、2025年から2040年までの間に、労働生産性を1.6倍(150%~160%)に向上させる必要があります”
既存の業務フローのままでは、この数字は達成不可能です。だからこそ、柿元氏の言う七つの項目活用が労働生産性を1.6倍に必要不可欠なのです。
3. AIの本質は「個人のエンパワーメント」
「AIが普及すると、人間の仕事が奪われるのでは?」
そんな不安を持つ方もいるでしょう。しかし、勉強会での定義は真逆でした。IT化やAIの本質は「個人のエンパワーメント(能力開花)」です。
具体的には、「苦手な分野(10点〜30点)」をAIの力で「合格点(60点〜80点)」まで引き上げること。
- 文章を書くのが苦手なら、AIに下書きを書いてもらう。
- データ分析が苦手なら、AIに分析してもらう。
- とにかく初めての分野や時間がかかる作業をAIに任せる。
こうして浮いた時間を、人間しかできない「得意分野(75点以上)」や専門業務に集中させる。これこそが、中小企業が目指すべきAI活用です。
4. 無料版の危険性と、おすすめの導入ステップ
「とりあえず無料のChat GPTを使ってみよう」と思っている方、ちょっと待ってください。
セキュリティ意識のないまま無料版を使うと、入力した企業秘密や顧客データがAIの学習に使われてしまい、情報漏洩のリスクがあります。
勉強会で推奨されたのは以下のステップです。
- 学習機能をオフにする: ユーザー登録後の設定で「データコントロール」をオフにし、入力データが学習されないようにする。
- Google Workspace (Gemini) の活用: 中小企業には、Chat GPT有料版よりも安価で、セキュリティが高く、議事録の文字起こしなどとも連携しやすいGoogle Workspace(Gemini付きプラン)が推奨されました。
5. 「使われる側」ではなく「使う側」へ
最後に、ドキッとする言葉がありました。
“これからはAIを使われる側から使う側に二極化し、デジタル時代はPDCサイクルのデータ収集からスタートし、データを集めてAIで最適化・解析し実行するというサイクルを回すことが重要です”
「AIが来たら自分の仕事がなくなる」と嘆く(AI急逝願望を持つ)前に、まずは自社のデータを集め、AIという「最強の道具」を使いこなす準備を始めましょう。

最期にあなたへの問いかけ
2040年、あなたの会社は「人手不足で立ち行かなくなった会社」になりますか? それとも「AIを相棒にして、生産性を劇的に高めた会社」になりますか?
今から学び始めれば、まだ間に合います。まずは安全な設定で、今日からAIに「これってどう思う?」と話しかけることから始めてみませんか?
