中央支部10月支部例会報告

 去る10月20日木曜日天神ビルに於いて、10月支部例会が開催されました。
報告者は、有限会社福創工業・板橋優さんです。

 板橋さんは後継者ですが、まだ『平社員』に過ぎません。その『平社員』が、同友会で人と会って成長し、経営指針書を2度も作成して会社に変化をもたらしている、今回はその過程についての報告でした。

 ㈲福創工業には現在、板橋さんのお父様で中央支部会員でもある板橋太吉さんが会長としておられ、また、親族関係のない元工場長が社長職にあります。しかも金物製作会社である同社の社員さんは職人さんばかりですが、板橋さんに技術があるわけでもありません。

 その板橋さんが経営指針書を発表して会社を変えようと言っても、普通、相手にされないか、最悪、反発されかねません。その状況で板橋さんがどう立ち回っているのか、大変興味を持ちました。

 私は、例会の準備に当初から携わっていましたが、当初、板橋さんは、経営陣や社員さんとの関係について、さほど意識していない様子で話をされていました。私は、会長も社長も社員の方も相当理解があるのだろうな、と思いましたが、それだけでは何年もやっていけません。周囲の理解や協力は当然ですが、実はそこに、板橋さんのなみなみならぬ努力や周囲への配慮がありました。

 板橋さんの入社当時、リーマンショックの影響で業績が落ち、社員さんの給与もカットされる状態で、入社自体、快く思われておらず、居場所もなかったそうです。しかし、板橋さんは、できることを一生懸命やろうと社内の掃除等を黙々と続け、また、鉄工所では珍しい飛込営業をして取引先を増やすなど結果を出し、さらに、同友会の行事等に積極的に参加し、そこで出会った方々の影響を受け、「全て責任を取る」という気持ちで事に当たる覚悟を持つようになるなど自ら変化することで、社内の信用を得ていきました。

 また、最初に作った経営指針書が独りよがりであったことに気付き、会長、社長、更には社員さんも巻き込んだ経営指針書を新たに作ることで会社に浸透させていったのでした。

 事業承継をどう進めていくか、大変難しい問題です。その主導権は、現経営者にあると思いますが、板橋さんのように後継者から積極的に経営に絡んでいくことで事業承継の流れを作っていくのも一つの姿と感じました(本当に様々な配慮が必要になりますが)。

 今後の板橋さんに目が離せない、そう思わせる例会報告でした。

                    (報告 みらい法律事務所 弁護士 宮原 三郎)

2016年10月31日