【開催報告】合同ブロック例会 経営者読書会 ~ 『価格の掟』を読み解き、知覚価値の演出と経営者の「判断」で自社の価値を再定義する ~

1月29日(木)に福岡県中小企業家同友会・中央支部合同ブロック例会「経営者読書会」が開催し、会場には学びと刺激を求める多くの経営者が集いました。
今回の課題図書である、ハーマン サイモン氏の著作「価格の掟」第2章と第3章の内容を中心に、自分たちのビジネスにどう落とし込むか、非常に熱い議論が2時間にわたって繰り広げられました。

【 ブランドが創り出す知覚価値の正体 】
例会は、ブランドが価格の納得感にどう影響するかという議論からスタートしました。
特に盛り上がったのが、非常に小さなバッグに12万円という高値がつくエピソードです。
実用性だけを考えれば「何を入れるのか」と思うほど小さなものですが、ブランドという付加価値があるからこそ、人はその金額を喜んで支払います。
もし同じバッグが1200円で売られていたとしたら、これほどまでの魅力は感じられないはずです。
「高いからこそ価値がある」という知覚価値を、いかに自社のサービスで演出していくか。
どんなに小さな会社であっても、看板を掲げている以上はそこにはブランドが存在するという視点は、参加者にとって大きな気づきとなりました。

【 労働の切り売りから「判断」への対価へ 】
特に士業や専門職の参加者から共感を集めたのが、報酬の考え方についてです。
かつて上司から「私たちの報酬は作業ではなく判断である」と教わったというエピソードが紹介されました。
顧客から見ればわずか15分の相談であっても、その背後にはその一瞬の判断を下すために経営者が積み重ねてきた膨大な研鑽があります。
単なるコストの積み上げで価格を決めるのではなく、提供した価値や判断の重みに基づいて対価をいただくこと。
そのためには顧客を教育し、自分たちの価値を正しく理解してもらう努力を怠ってはならないという、専門職としての矜持が語られました。

【 交渉の気概を剣道の「踏み込み」に学ぶ 】
価格交渉の場面における経営者のメンタルについても、深い議論が行われました。
剣道において、相手が踏み込んできたときに引いてしまうと、そのまま胴を斬られてしまいます。
ビジネスの交渉も同じで、相手の値引き要求に怯んで引いてしまうと、利益という会社の命を失うことになります。
宮本武蔵の「五輪の書」を引用し、相手の拍子に合わせるのではなく、こちらの拍子に相手を乗せることの重要性が説かれました。
「これがうちの価値です」と堂々と伝え、時には踏み込み返して正当な価格を維持する。
この経営者としての気概こそが、安売りの負のスパイラルから脱却する鍵となります。

【 おまけの心理学:130円の値引きより贈り物を 】
人間心理を突いた戦略として、単純な値引きよりも「おまけ」を添える手法も注目されました。
130円を値引きするよりも、同じ130円相当の贈り物を手渡すほうが、人間の心理には「喜び」として強く刻まれます。
これは経済心理学におけるメンタルアカウンティング(心の会計)の考え方です。
価格を一度下げてしまうと元の水準に戻すのは困難ですが、ニュースレターを毎月届けるといった「常に何かをしてもらっている」という演出を設計することで、価格以上の満足感を生み出すことが可能になります。
こうした戦略的な誠実さが、長期的には強固な信頼関係を築く土台となります。

【 参加者の声と次回の展望 】
今回の例会では、参加した経営者一人ひとりから非常に具体的で熱のこもった感想が寄せられました。
その一部をご紹介します。

  1. 独立1年目の経営者
    これまで他社の価格を参考に平均値で設定していましたが、今回の学びで安売りの怖さを知りました。
    自分の価値を信じて、正当な価格を提示する勇気をもらいました。
  2. 不動産・小売業の経営者
    価格は自分たちのプライドそのものであると感じました。
    社員と一緒に、自分たちが提供している価値が本当に「0円」でいいのか、改めて問い直していきたいです。
  3. 専門職の経営者
    価格交渉の際、どうしても申し訳ない気持ちになっていましたが、剣道の「踏み込み」の話を聞いて腹が決まりました。
    今後は「これが私たちの判断の価値です」と胸を張って伝えていきます。
  4. サービス業の経営者
    おまけの重要性に驚きました。
    ニュースレターやちょっとした心遣いが、どれほど顧客の心に残るかを再認識しました。
    すぐに自社のサービスに組み込んでみます。
  5. 組織運営に悩む経営者
    社員教育の話も非常に参考になりました。
    「形式(視点)」を広げるために、社員と一緒に本を読む文化をまずは自分から作っていこうと思います。
  6. 経験豊富なベテラン経営者
    長年経営をしていますが、改めて価格の奥深さを感じました。
    慣れ親しんだ価格設定を見直し、今の時代の「知覚価値」に合わせたアップデートを始めます。

【 経営者が学び続ける本当の意味 】
読書は、自分だけの限られた経験を超え、先人の知恵を借りて「形式(視点)」を広げてくれる最高の手段です。
言葉を正しく理解し、思考を深める訓練を怠れば、経営者としてのひらめきは生まれません。
今回の読書会も、単なる知識の習得ではなく、それぞれの経営者が新たな視点を手に入れ、現場に持ち帰るための強力なプラットフォームとなりました。

この学びの火を絶やすことなく、次回の例会でもさらに深い議論を重ねていきましょう。

【開催概要】
イベント名: 福岡県中小企業家同友会 合同ブロック例会『 経営者読書会 』
次回開催予定: 2025年2月26日(木)
お申し込み:edoyuよりお申し込みください。

2026年1月30日

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