会員の皆さま。
先日の支部総会において、福岡県中小企業家同友会中央支部の支部長として皆様の承認を得て、再びこの場に立つこととなりました。
10年前、私は一度この役目をお預かりしました。あの頃の熱気、学び、仲間との真剣な議論はいまも忘れがたい記憶です。 しかし現在、会員数は減少し、活動への関心や熱量は依然としてありつつも、成果はあの頃より確実に薄れつつあります。
これはただの数字や参加率の問題ではありません。 私は同友会の理念、目的が、日々の実践と乖離しつつあるという、深刻な兆候がこれを引き起こしているのではないかと危惧しているところです。 ですが私は、これを再出発の好機と捉えます。 今こそ、原点に立ち返るべき時です。
私たち同友会が掲げる三つの目的――
– よい会社をつくろう
– よい経営者になろう
– よい経営環境をつくろう
この普遍的な目的は、時代が変わっても決して色あせることはありません。
問題は、これをいかに日々の経営に活かしていくかということです。
私はこの理念の実現を「見える形」にするために、明確な旗印を掲げます。それが「会員企業100%黒字」です。
なぜこの目標を掲げるのか。それは、私たちが同友会の三つの目的――「よい会社をつくろう」「よい経営者になろう」「よい経営環境をつくろう」――という道をまっすぐに進んでいけば、自然と黒字企業へと変わっていくはずだからです。
理念を実践に変え、目的を日常の経営に落とし込むことができれば、必ずや黒字化という成果はついてくる。
「利益など意識して出さなくても、自然とそうなる」と言われることがあります。確かに、理想的な経営とはそうした状態かもしれません。しかし現実には、赤字企業がこれほど多いという事実があります。それは、黒字を目指すという明確な意思を持たなければ、自然にはならないということを意味しています。
そして、その“思い”や“意思”を支えるのが、同友会が私たちに示してくれている三つの目的なのです。
この目標は、理念の延長線上にある、具体的な証なのです。
この目標は甘くありません。容易でもありません。
しかし、それは絵空事ではない。
理念を地に足つけて実践する覚悟の表明です。
この挑戦を支える実践哲学として、私は稲盛和夫氏の「経営の原点12ヶ条」を補強に用います。
– 第3条「強烈な願望を心に抱くこと」
– 第7条「経営は強い意志で決まる」
まさに今、私たちに求められているのは、“黒字化を必ず実現する”という強烈な願望と、それを貫く不屈の意志です。
私たちは、自社の未来と地域の未来を重ねながら、互いに学び合い、励まし合い、問い合いながら、全社黒字という険しい山を共に登る覚悟を持たねばなりません。
チャーチルは、第二次世界大戦下の1940年6月18日、英国議会で行った演説「Their Finest Hour(彼らの最も輝かしい時)」において、国民にこう語りました。
“Let us therefore brace ourselves to our duties, and so bear ourselves that, if the British Empire and its Commonwealth last for a thousand years, men will still say, ‘This was their finest hour.'”
日本語訳:「それゆえ、私たちは自らの義務に備え、ふさわしい振る舞いをしよう。たとえ大英帝国とその連邦が千年続こうとも、人々はこう言うだろう──『あれが彼らの最も輝かしい時であった』と。」
この逆境が、のちに振り返って「最も輝かしい時であった」と言われるように、私たち自身がそのように振る舞わなければなりません。
この挑戦は、単なる支部活動の活性化ではありません。
それは「同友会に入って本当によかった」と、すべての会員が実感できるような活動を創ることです。
私たちはもはや、傍観者ではいられません。
変革の「担い手」として、行動する仲間でなければなりません。
この一年を経て、「あれが中央支部の最も輝かしい時だった」と語られるよう、私が先頭に立ちます。 どうか皆さま、共にこの一年を歩んでください。