第4回経営実態調査結果(2025年4~6月)

景況感横ばい。先行き見通しづらさ高まる。
自社の存在意義を改めて問い直し、社員と共に付加価値を高めよう。

〔概況〕
「今期業況判断DI(前年同期比)」は、前回調査(2025年1-3月期)の「3.8」に比べて、1.9ポイント微減して「1.9」と横ばいだった。「次期業況判断DI(前期比)」も前回調査と比べ-0.9ポイントの「22.6」となり、見通しは横ばいとなった。県内中小企業の景況感に大きな変化は見られなかった。
「売上高DI(前年同期比)」はマイナス0.4ポイントで「14.7」へ微減となった。「販売・客単価DI(前年同期比)」は上昇したとの回答企業が146 社ある一方、売上が増加した回答企業のうち理由に「販売・受注価格の上昇」とした企業は33 社にとどまり、販売・客単価の上昇が必ずしも売上増加まで至っていない企業が多いとみられる。
「採算DI(前年同期比)」は2期連続でマイナスとなり、2.4ポイント低下し、「7.4」となった。回答企業416 社のうち55.8%の229社が今期「黒字」「やや黒字」で、黒字企業の回答割合は前回と変化はなく、「赤字」「少し赤字」は18.8で5社に1社程度だった。採算が「好転」した107社のうち76.6%、4社のうち3社が「売上数量・客数の増加」を好転理由に回答したが、一方で「売上単価・客単価の上昇」は46.7%と半数弱の回答にとどまった。
「仕入単価DI(前年同期比)」は前回調査より4.4ポイント低下したが、「49.6」と高水準を推移している。「次期見通しDI(前期比)」も6.2ポイント低下したが、「41.4」と仕入単価は引き続き上昇局面と言える。
また、209 社(52.4%)が仕入単価「上昇」と回答したのに対して、販売・客単価が「上昇」したと回答した企業数は、146社(41.6%)にとどまった。
「人手過不足DI」はプラス6.8ポイントで「-37.9」と増加したものの、人手不足感は継続している。また、採用状況の設問では「採用できずに困っている」との回答が79社あり、「採用していない」企業を除くと3割程度が採用困難であった。「資金金繰りDI」は、前期は3期ぶりにマイナスの「-1.5」だったが、今期は前期比で「2.8」とプラス域へ転じた。
経営上の問題点では前回初めて回答数が1位となった「人件費の増加」が引き続きトップ(22.4%)となった。「仕入単価の上昇・高止まり」も引き続き2位(21.9%)と依然高水準であり、3位は従業員不足(20.4%)となった。また、「同業者相互の価格競争」が4位(19.0%)となり、市場環境の変化が見られた。


〔特別調査「採用に関する影響調査」〕
・「高卒」新卒初任給は、「19万7,500円以上~22万3,900円未満」とする企業の回答割合が23.4%と最も多かった(n=248)。「高卒全国平均19万7,500円(『令和5年度賃金構造基本統計調査』より)」以上の企業は83社だった。また、「大卒」新卒初任給は「19万7,500円以上~22万3,900円未満」とする企業の回答割合が36.5%で最も多く、「大卒全国平均24万8,300円(『同調査』)」以上の企業は20社だった。
・大企業の新卒初任給大幅引き上げに関して自社の採用への影響については、「大きな影響がある(採用が困難になる)」98社、32.7%と「ある程度影響がある(応募数や質などに変化がある)」69社、23%と、「影響はあるが限定的(特定職種や条件に限られる)」52社、17.3%と合わせると、73%で4社に1社程度が「自社の採用に影響がある」と回答した(n=300社)。


※DI(ディフュージョン・インデックス):企業の業況感や設備、人手過不足などの各種判断を指数化したもので、景気局面などの全体的な変化の方向性や各経済部門への波及度合いを把握できる「拡散指数」です。
計算式(百分率表示)DI = (プラスの構成要素の数(「よい」など)-マイナスの構成要素の数(「悪い」など)) / 構成
要素の総数×100

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