社員が輝く会社を目指して

〜自社の仕組みをお客様に提案〜

株式会社ベストオフィスクリエイション 代表取締役 出﨑 泰三 氏(福友愛支部)
十分な準備期間を経て3代目社長に就任した出﨑泰三さん。
社内改革に乗り出すのでした。

会社概要
 I T・O A機器の販売・メンテナンス、ネットワーク保守、オフィスレイアウト設計構築、オフィス家具販売などに携わっています。
「福岡市及びその近郊で、オフィスを構えている中小企業がターゲットとなります」と話し始めたのは、㈱ベストオフィスクリエイションの代表取締役・出﨑泰三さんです。
 1 9 8 4年5月、大手のコピー機を販売していた塚崎實男さんが妻・ひとみさんとともに㈱ベスト事務機を創業させました。創業の精神は『最良の商品に最高のメンテナンスサービスを提供します』とあります。
 その後、営業や技術のスタッフも増え売上は順調に推移していきました。その中でも、塚崎さんは売上の8割を稼ぐというスーパー営業マンぶりを発揮していました。

出﨑さんの生い立ち
 出﨑さんは千葉県で生まれます。父親は転勤族で全国を転々として育ちました。広島県福山市で高校を卒業し、未知の福岡市に興味を抱き福岡市天神に近い大学を選びました。電子工学科マルチメディアコースを専攻します。就職氷河期でしたが技術者として同社に入社しました。2 0 0 1年春の事です。
「バリバリの営業をしていた初代社長とは2年ほどご一緒に仕事をしました。ある日、朝礼後に体調不良を訴え病院へ向かいましたが、そのまま帰らぬ人となりました」と出﨑さんは振り返ります。
2 0 0 3年、それまで経理をしていたひとみさんが2代目に就任します(ひとみさんは現在玄海支部所属)。営業の大きな柱を失った同社は、存続を危ぶまれたと言います。技術職の出﨑さんも売上を作るために営業に回ります。
 ひとみさんは、営業サポートの立場でした。しかし持ち前の勉強熱心さから、経営や営業などあらゆる勉強を重ねていき、やがて陣頭指揮を執るようになっていきました。「業界は競争が激化し、ひとみさんはかなり厳しい方針や目標を打ち出していました。社員の離職率も高かったです。しかし、その言葉に『愛』を感じていたので、辞めようと思ったことは一度もありませんでした」と出﨑さんは言います。
2 0 0 8年、現在の社名に変更します。

お客様のニーズに応えられなかった
 「創始者の想い『創業の精神』を忠実に実現していきました」。出﨑さんはコピー機のメンテナンスだけでなく、お客様のパソコンやネットワークなどの問い合わせにも対応していました。不具合の原因が自社の領域以外であっても、断ることなく対応していました。しかし「ある時、どうしても直すことができず、非常に悔しい思いをしました」。 

 そこから出﨑さんの仕事魂に火が着き、社員とともにパソコン、ネットワークに関わる知識・スキルの習得に努め、関連する資格も取得しました。そしてお客様がパソコンやネットワークを安心して使用でき、不具合がある場合にはすぐ対応できる保守契約を開始しました。細かい対応や同業他社が手を出したくない時間のかかる対応を誠実に重ねていくことでお客様から信頼をいただき、今では価格競争に巻き込まれないようになりました。

3代目就任の打診
 業界の状況は厳しさを増す一方でした。2 0 1 2年、ひとみ社長から3年後、後任の社長にならないかと打診を受けます。後日談では出﨑さんの誠実さが評価されていたようです。会社が厳しい状況の中、自分たちで築いてきたものを何とかしたいという思いが強く、出﨑さんは快諾するのでした。
 時を同じくして、経営を学ぶために同友会・福友支部(当時)に入会します。初めはどうしてよいかわからず、名刺を交換した経営者の会社を訪問して回りました。「御社の経営理念を教えてください。ビジョンは何ですか」と必死に尋ねていました。「会員さんは温かく、そして丁寧に教えてくれました。そのご恩・ご縁は決して忘れません」と出﨑さんは語ります。その活動は2年ほどに及びます。
 入社当時から社内活性化委員会に属し、社内環境改善活動に取り組んでいました。
 2 0 1 4年、自社の仕組み、5 S、レイアウトなどオフィスを見学する【Bフロア】を開始しました。

オフィスのコンセプト(現在)を
1.コラボレーション(情報を共有することで新しい発想や新サービスが生まれる)
2.オフィス× I T・D X(本来時間をかけるべき部分に経営資源を集中させる)
3.インクルージョン(お互いの強みの部分を頼り、一人ひとりが輝ける会社)
としています。

社内改革を加速
 結局8年後の2 0 2 0年、3代目社長に就任しました。「じっくり準備ができたと思います」。時はコロナ禍を迎えました。「オフィスの在り方、働き方を抜本的に考え直すいいチャンスだと思いました」。もともと取り組んでいた社内改革を加速させます。経営理念、経営ビジョンを目指すために、何から取り組んでいくべきかを考え、様々な取り組みに着手しました。ほんの数例を紹介していきます。

●スーパーフレックス制度
●テレワーク制度、直行・直帰制度、マイカーの業務利用制度
●オフィスカジュアル制度、ウェルビーイング経営、副業制度
●人事評価制度:あらゆる評価内容をポイント化して昇給・昇格・賞与に連動
●資格取得制度:受験料の負担、手当の支給
●書籍購入制度:成長に関わると思う書籍は月5,0 0 0円まで会社負担

など、枚挙にいとまがありません。
働きやすい環境を整えることで、意識はお客様へ向き、理念につながっていきます。

【経営理念】
ベストオフィスクリエイションは存在価値を高め快適なオフィス環境の提供を通して社会に貢献し夢と希望に満ち溢れた会社を創ります

 社員が成長する環境をいかに整えるかが大切と考えています。
 ちなみに、同社では売上を『お役立ち額』、利益を『評価額』と呼んでいます。お客様のお役に立てているのか、評価をいただいているのかという意味です。
 「社長一人では会社は発展しません。社員一人ひとりが使命のもと、働くことで発展します。経営ビジョンである『社員幸福№ 1企業』を目指し、社員一人ひとりが輝く会社を目指しています」。

理念の浸透のために
出﨑さんは理念の浸透のために次のような取り組みをしています。

●入社からの振り返り発表:毎月1、2名の発表のあとグループ討議
●未来塾:新入社員や入社3年までの社員が対象で、社長や社員が講師役
●月刊誌『理念と経営』『到知』の勉強会:設問や感想発表
●社長語録:社長から理念やビジョンを社員に伝える
●朝礼:理念、クレドの振り返り発表後、深堀の質問
●日報:クレドの振り返り、今日の気づき、ありがとうの記入

社員が輝く会社
 出﨑さんは支部例会の座長として例会づくりを担当しました。会員から「自社の経営課題を解決するチャンスでもある」とアドバイスをもらっていました。そこで『人を生かす経営』を読んだとき「これにすべてが書いてある」と思いました。
 そこで『理念に基づく共育ちの実践』をテーマに会員にインタビューをしていきました。「例会を担当させてもらう学びは深い」と言います。
 昨年、社長ビジョンとして「経営者を10人つくる」を掲げ、ホールディングス会社を立ち上げました。各人の強みを発揮し使命を掲げ輝く仲間と一緒に歩んでいきたいと考えています。
 取材の最後に出﨑さんの考える自立型企業についてお伺いしました。「社員一人ひとりが自身の強みを活かし輝いて働いている会社だと思います」と笑顔で締めていただきました。

取材協力ありがとうございました。

<株式会社 ベストオフィスクリエイション>
創業:1984年5月
住所:福岡市博多区博多駅南4-14-15
電話:092-472-9061
従業員数:14名
事業概要:IT・OA機器の販売、サポート。
     オフィス家具販売。
HP-URL:https://www.bestoc.jp
取材/広報部 

文章/菅原 弘(東支部)

写真/富谷正弘(玄海支部)

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