2026年度りょうちく支部「経営AI支援勉強会」始動──2040年までに労働生産性150%へ、中小企業の未来を拓くAI活用の第一歩──

「AIに使われる側になるか、使いこなす側になるか──」

労働力不足が加速する日本で、中小企業が生き残るためのカギは何か。福岡県中小企業家同友会りょうちく支部では、2025年下半期からの新たな学びの場として「経営AI支援勉強会」をスタート。第1回オリエンテーションでは、講師を務めた柿元千德氏が、2040年に向けた生産性150%向上という具体的な目標と、そのために経営者が今すぐ取り組むべきAI活用の全体像を、豊富な事例とともに示してくれました。

勉強会の概要

項目内容
開催日2026年6月30日
主催福岡県中小企業家同友会 りょうちく支部
形式対面+リモートのハイブリッド開催
対象支部会員、および卒業生(過去参加者)
講師柿元 千德 氏(パーシモンズ 代表)
第1回テーマオリエンテーション ― 生産性150%向上とAIエージェント活用の全体像

参加者は、これまでの卒業生と新規参加者が混在するアットホームな雰囲気の中でスタートしました。

なぜ今、経営者がAIを学ぶのか──背景と目的

勉強会の冒頭、柿元氏はこの学びの場の意義について、次のように語りました。

「2040年に向けて、労働人口は確実に減っていきます。同じ売上を保つためには、労働生産性を今の1.5倍──150%まで引き上げる必要がある。これは選択肢ではなく、中小企業が生き残るための必須条件です」

さらに、労働力不足を補う7つの戦略として、①自動化 ②高齢者活用 ③プロボノ活用 ④無駄の排除 ⑤高付加価値化 ⑥規制緩和 ⑦共通デジタルフォーマットの導入──を提示。その中でも中小企業がすぐに着手できる領域として、AIによる業務自動化が本勉強会の中心テーマに据えられました。

ハイライト①:「人間に残る仕事は右クリック・左クリック・土下座」

会場から思わず笑いが漏れたのが、柿元さんが例として出した、ハヤカワ五味氏の次の名言でした。

AI時代に人間に残る仕事っていうのは、右クリック、左クリックと土下座しかないんですよ」(by ハヤカワ五味)

一見冗談のようですが、その真意は深いものです。AIが実務のほとんどを担うようになる中で、人間の役割は、①AIの判断にゴーサインを出す意思決定(クリック)と、②対人関係で責任を取り誠意を示すこと(土下座)に集約されていく──という示唆。経営者としての本質的な役割を鋭く突いた言葉に、参加者からは深い頷きが見られました。

ハイライト②:クラウド型AI vs ローカル型AI──「図書館の司書」と「専属秘書」

続いて解説されたのが、AIエージェントの2つのタイプの使い分けです。

  • クラウド型AI(Gemini、Jenspark など)
    「世界中の本を扱う図書館の司書」に例えられる存在。膨大な情報にアクセスし、ネット検索や共同作業に強い。
  • ローカル型AI(Claude Code、Antigravity など)
    「個人の書斎に常駐する専属秘書」のような存在。自分のPC内のデータを扱い、セキュリティを保ちながら業務を自動化する。

柿元氏は、この2つを目的に応じて使い分けることが、これからの経営者に必須のリテラシーだと強調しました。

ハイライト③:具体的な業務効率化事例──「3時間おきに秘書が動く」

「理論だけでは腹落ちしない」ということで、柿元氏は自身が実際に構築している事例を惜しみなく公開してくれました。

  • 移動・スケジュール管理の自動化:3時間おきに天気、その日の予定、事務所への移動ルート、リアルタイムの交通情報(渋滞・電車運行)を自動取得
  • デスクワーク自動化:AIがPC画面を認識し、Excelへの集計や社内システムへのデータ入力を代行
  • コンテンツ制作:MP3の音声ファイルをアップロードするだけで、ブログ記事を自動生成(Jenspark活用)
  • 企画書作成:対話形式で数項目に答えるだけで、例会の企画書パーツが完成
  • デザイン業務:2030年ビジョンなどからインフォグラフィックやイラストを画像生成AIで作成

そして、こうした複数のAIを束ねる「AI部長」というマルチエージェント構想も紹介されました。企画AI課長、執筆AI課長、テストAI課長を束ねるAI部長──人間は最終承認者としての「監督」に徹する。まさに未来の組織像が示された瞬間でした。

ハイライト④:衝撃の一言「Claude Codeを作った人は、3年前まで奈良で味噌作りしてたんです」

もう一つ、会場が沸いたエピソードがあります。

「今、最も注目されているAIツール『Claude Code』を作った本人は、3年前まで奈良で味噌作りをしていたアメリカ人なんです。それが、たった3日で世界を変えるツールを作った」

このエピソードは、AI時代のイノベーションが「誰にでも起こり得る」ことを象徴しています。年齢や経歴に関係なく、AIを使いこなす個人が、大企業に匹敵する成果を生み出せる時代──それがまさに、柿元氏が繰り返し語る「AIによる個人のエンパワーメント」の本質です。

経営者への提言──5つのマインドセット

勉強会を通じて、柿元氏が繰り返し伝えていたのは以下のポイントです。

  1. 使う側への転換:AIに仕事を奪われるのではなく、AIを使いこなす人が使わない人の仕事を代替する時代。
  2. 自社データこそが差別化の源泉:ツール自体は誰でも使える。差がつくのは「自社独自のデータ」をどう組み込むか。
  3. セキュリティリテラシー:無料版AIに個人情報を入力しない。ローカル型AIを賢く使い分ける。
  4. ハルシネーションへの理解:AIの出力は必ず人間が最終確認する。「NotebookLM」のように嘘をつきにくいAIも活用する。
  5. エンパワーメントの本質:10〜30点の能力をAIブーストで85〜95点に引き上げる。それがAIの真価。

次のステップ・次回予告

勉強会の締めくくりでは、次回予定が確認されました。

【次回勉強会】

  • 日程:2026年7月28日
  • テーマNotebookLM(Google)の活用
  • 内容:無料版でも可能な範囲で、自社データをAIに学習させる方法を2回に分けて体験

編集後記──「学ぶ」から「使う」へ

同友会の三つの目的である「よい会社をつくろう、よい経営者になろう、よい経営環境をつくろう」──この理念にAI活用という具体的なテクニカルテーマが加わることで、学びは一層実践的なものになります。

労働力不足という共通課題を、単独ではなく仲間とともに乗り越える。まさに「自主・民主・連帯」の精神を体現する学びの場となりました。

「聞いたけど使わない」から「使って成果を出す」へ。次回7月28日、実践の第2ステップにご期待ください。


📢 参加のご案内

福岡県中小企業家同友会 りょうちく支部では、経営AI支援勉強会への参加をお待ちしています。会員でない方も、まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ:福岡県中小企業家同友会 りょうちく支部
次回開催:2026年7月28日18時30分~「NotebookLM活用」[開催場所]県南センター:福岡県久留米市西町1367−1)
お申込みhttps://zenkoku.e-doyu.jp/s.event/showDetail.html?init&eid=978814&lid=978814_40

学びを、実践へ。仲間と共に、次の時代の経営を創りましょう。


タグ:#中小企業経営 #AI活用 #生産性向上 #DX #福岡同友会 #経営勉強会 #ClaudeCode #NotebookLM #マルチエージェント #労働生産性

2026年7月8日