久留米/朝倉/うきはの新たな仲間と共に、互いの経営を学び合った一日

異業種6名の新会員が、それぞれの想いと挑戦を語った——。

2026年6月17日、北野町生涯学習センターで開催されたりょうちく支部6月例会は、前年度に入会した新会員による「自社プレゼン大会」。

農業、会計、建設、行政書士、園芸と、業種も規模も異なる経営者たちが、リアルな経営課題と向き合う姿に、会場は深い共感と刺激に包まれました。

イベント概要

  • 開催日時: 2026年6月17日(水) 18:30〜20:20
  • 会場: 北野町生涯学習センター
  • 主催: 福岡県中小企業家同友会 りょうちく支部
  • 参加者: 会員・ゲスト約20名(新入会員5名含む)
  • 形式: パネルディスカッション形式(各報告者15分+質疑応答)

なぜ、この例会が開かれたのでしょうか

「会員相互の理解と交流を深める」——今回のこの目的は、単なる顔合わせではありません。りょうちく支部には昨年度、7名の新会員が加わりました。業種も経営環境もまったく異なる彼らが、どんな課題に向き合い、何を目指しているのか。それを知ることで、既存会員も「自社の立ち位置」や「他社との違い」を再確認できる——その様な背景が、この例会には企図されていました。
大坪支部長の挨拶には、温かなエピソードが込められていました。会場には率直な対話が生まれました。


6名の新会員が語った、リアルな経営と挑戦

🌱 外部要因を過小評価していた農業経営

長野 進 氏(有限会社長野菜園)

ビニールハウス1.6ha、路地1.6haで水菜・小松菜・ネギを生産する長野さん。太郎グループという共同出荷の仕組みの中で、販売会社や他の生産者と連携しながら、市場ニーズに応じて作付を変えてきました。

印象的だったのは、利益グラフの分析。「3期4期で利益が急増したのは、自分が頑張ったからだと思っていた。でも実は単価が良かっただけ。外部要因を過小評価していた」——この気づきから、販売データを共有し、労働力を季節変動に合わせて調整する仕組みを構築。情報の精度向上のため、承認フローも導入しました。

「従業員と共に10年ビジョンを作りたい」——経営指針セミナーで理念の文章化に取り組む長野さんの姿に、会場からは暖かい拍手が上がりました。


💼Freee専門会計事務所がサポートするリアルタイム経営への道

重村 慶太郎 氏(久留米クラウド会計事務所)

外資系メーカーで15年経理責任者を務め、昨年独立した重村さん。クラウド会計「Freee(フリー)」に特化し、「領収書の束と格闘する経理」から「未来を意識する経理」への転換を支援しています。

「税理士との思いの共有が、クラウド会計で可能になる」——ネットバンクとの連携でリアルタイムに会計情報を把握でき、社長と喜びを分かち合えたエピソードが印象的でした。開業1年で15社のフリー導入を支援し、「記帳代行ではなく、自社で経営を実装できる状態を作る」ことを目指しています。

質疑応答では、「積極的にアドバイスする税理士と、そうでない税理士の差が大きい」という参加者の声に、重村さんは「新規創業や、クラウド会計に関心のある経営者からの問い合わせが多い」と答え、ネットやリアルな場での自らの業務発信の重要性を語りました。


👷🏼‍♂️うちの会社、なぜか辞める人が少ない。

山本 彩加 氏(株式会社山本建設建材)

55年前に父が創業した山本建設建材。建設・運送・解体・土木・不動産と幅広く手掛け、規模もそれなりに大きいです。特筆すべきは、離職率5%未満という数字。建設業界の若手離職率43.2%と比べ、圧倒的な定着率を誇ります。

「父は『社員は家族』という姿勢をブレずに貫いてきた。口には出さないけれど、不正があっても、経営が厳しくても、社員の手を離さなかった」——今ある社内の無意識の文化を、後継者の山本さんは言語化し、仕組みにしようとしています。

経営指針セミナーで策定した企業理念「仲間とともに地域の信頼と未来を築く」他、社員と共に作ったクレドと7つの行動指針。「マニュアル化すると、父の温かさが失われるのでは」という不安を抱えながらも、「社員の夢と幸せを実現する場を失いたくない」という強い想いで、社内制度構築に取り組んでいます。

質疑応答では、ベテラン層を中心に巻き込み、「違うんじゃない」「いや、これでいく」と問答を重ねながら、共に決めた道を進んでいる生き生きとした様子が語られました


🚶🏽外国人雇用を支える行政書士の仕事

梅田 孝幸 氏(行政書士うめだ法務事務所)

開業14年目、インドネシア人材に特化した行政書士の梅田さん。「車庫証明や遺言書作成など、1万種類の業務がある行政書士の中で、なぜ外国人業務を選んだのか?」——その答えは、「継続性があるビジネスモデルだから」。

特定技能ビザの普及で増える外国人雇用。梅田さんは、インドネシアの教育機関・訓練センター・職業紹介会社と連携し、ブローカーを排除した適正な受入れを支援しています。現地面接の同行、採用前からの関与で不法就労を未然に防ぐ——「企業と外国人への支援、法令遵守」を大切にする姿勢が印象的でした。

会場から出た「日本はまだ選ばれる国か?」という質問には、「今はギリギリ。これから外国人が企業を選ぶ時代になる。企業は福利厚生を含め、選ばれる努力が必要」と、鋭い回答がありました。


🌸少量多品種で全国へ——花壇苗生産者の挑戦

山内 昇一 氏(株式会社山内園芸)

パンジー・ビオラなど年間500品種の苗を生産し、全国に配送する山内さん。「1ポット1ポット観察しながら水やりする」こだわりと、「どの花も80点を目指す最低点向上主義」で、顧客との信頼関係を築いています。

特にユニークなのは、個人育種家との協働プロジェクト。市場にまだ出ていない新品種を、育種家・生産者・販売店の三者で連携し、開発・販売する——「アーカイブ」という新ブランドは、こうして生まれました。

一方で課題も。園芸人口の減少、物価高、夏の猛暑による労働環境の悪化。「真夏の酷暑ビニールハウス内、どうすれば…」「社員さん達にこの酷暑の中、来てくれてありがとう、と言うしかない。でも彼らに仕事は作らないと」という率直な悩みに、会場からは共感の声が。——リアルな葛藤が語られました。


📸56歳からの挑戦——自営業者からビジネスオーナーへ

松尾 勝彦 氏(写真の松屋)

31歳で結婚と同時に主要顧客を失い、価格競争に巻き込まれた松尾さん。「同じような仕事をする会社が隣で1000円安くやってきたら、どうする?」——この問いに向き合い続けた25年。辿り着いたのは、「写真+ダイエット」という独自の価値創造でした。

47歳で息子が生まれ、健康への意識が芽生えた松尾さんは、「痩せる=7つの習慣の実践」と捉え、23kgのダイエットに成功。自分に自信も付き、その際に気づいた、撮影前のダイエットサポートを新事業として立ち上げました。「太っている時は写真を撮りたくない。痩せると撮って撮ってと言われる。これは新しいニーズだ」——健康を通じて顧客の人生を豊かにする、新しいカメラマン像を追求しています。

「自営業者から、ビジネスオーナーへ」——同友会でリーダーシップを学び直すため、再入会した松尾さん。その覚悟と挑戦に、会場は大きな拍手を送りました。


参加者の声・学び

  • 「業種が違っても、『お客様を選ぶ』『付加価値をつける』という視点は共通していた」(参加者A)
  • 「後継者が無意識の文化を言語化する難しさと大切さを実感した」(参加者B)
  • 「クラウド会計で税理士との関係が変わる——これは革命だ」(参加者C)

座長の楢原さんは、「プレゼンの後の質問・フィードバックが非常に重要。今後もこの同友会内で互いに学び合う関係を深めたい」と締めくくりました。

まとめ

今回のりょうちく支部の6月例会は、地元筑後地方の「新会員を知る」という枠を超え、「互いの経営を深く理解し、共に学び合う」場となりました。

農業も会計も建設も行政書士も園芸家も写真館も——業種は違えど、「お客様との信頼」「仕組み化」「付加価値創造」という共通の課題に向き合う姿が、そこにありました。

新会員の皆さんの率直な報告は、既存会員にとっても「自社を見直すきっかけ」となり、同友会の理念「良い会社をつくろう、良い経営者になろう、良い経営環境をつくろう」を体現する一夜となりました。

次回の例会も、ぜひご参加ください。共に学び、共に成長する仲間が、あなたを待っています。


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2026年6月24日