【うきは市 経営 勉強会レポ】「理念なき者に成功なし」- 未来を見失っていた農業法人の経営を救った、同友会での学び

「なんでウチは安定しないんだ…」
後継者として会社を継いだはいいものの、売上は伸び悩み、社員や従業員との距離も感じる。そんな後継者悩みを抱え、夜も眠れない日々。あなたも、そんな経験はありませんか? 先日、うきは市で開催された経営勉強会で、私のモヤモヤを吹き飛ばすような衝撃的な話を聞いてきました。これは、すべての若手農業法人経営者に伝えたい、9月18日(木)に福岡県うきは市のうきは市民センター(うきは市浮羽町朝田582-1)で開催された福岡県中小企業家同友会りょうちく支部の9月例会からのレポートです。

「勘と経験」頼りの経営が招いた停滞

今回報告があったのは、株式会社カラーリングファームの楢原社長 。彼もかつては、栽培技術の未熟さや不安定な生産、そして何より「勘と経験のみの生産」 に苦しんでいたそうです。これ、農業事業者としては本当に耳が痛い話ですよね。楢原さんも先代のやり方を信じつつも、どこか行き詰まりを感じていたそうです。

そして、採用は場当たり的で、社員には嫌われたくなくて厳しいことも言えない 。そんな状態では、強い組織なんて作れるはずもありません。

ターニングポイントは「中小企業家同友会」

そんな楢原さんの転機となったのが、福岡県中小企業家同友会への入会でした 。そこで彼は、経営の根幹を成す「経営指針」の重要性を学びます。特に、会社の存在意義そのものである「経営理念」こそが、全ての原動力になることを知ったそうです。

そこで「経営理念」「10年ビジョン」「経営方針」「経営計画」を知り、ポイントとして「労使見解の精神を生かした経営指針作り」を実践し、社員との信頼関係を確立する様に努力したそうです。

会社の「夢=理念」がなければ、どんな計画も実行も、成功には繋がらない。まさに経営の真理だと思いませんか?

「健康な食べ物で人生を豊かにする」という理念の羅針盤

楢原さんが掲げた経営理念は「健康な食べ物で人生を豊かにする」 。この理念があったからこそ、慣行栽培から有機栽培への挑戦という、苦しくても正しいと信じる道を選ぶことができたと思えます。実際、収量が減り、資金繰りに窮する中でも 、この理念と、それを見て入社してくれた社員さんの存在が支えになったと言います 。

農業法人の営農は、単に作物を作ってバイヤーへ売ることではない。私たちが社会に提供できる価値は何か?それを言葉にし、社員と共有すること。そのプロセスこそが、会社をV字回復させる最強のエンジンになるのだと確信したそうです。

経営変革の第一歩は「月次の決算書」から

報告者の楢原さんは、経営が劇的に変わるきっかけは「月次の決算が出るようになったこと」だと断言しました 。経営指針書を作成後、税理士を変更し自社の経理をきちんと理解することから全てが始まりました 。

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経営指針書と人材教育、共同求人

これにはハッとさせられました。農業法人経営において、日々の作業に追われ、経理はアウトソーシングで丸投げ。自社の正確な財務状況を把握せずして、的確な経営判断などできるはずもありません。楢原さんは、数字を理解したことで、長年続けてきた特定販売先への100%委託販売というビジネスモデルを見直す決断をします 。そして今では、80%を価格の安定した契約販売に切り替えることに成功しているのです 。

あなたの会社の「理念」は、社員の心を動かしていますか?

農業技術や経営戦術も大切です。しかし、それ以上に「我々は何のために存在するのか」という問いへの答え、つまり経営理念が、これからの困難な時代を乗り越えるための羅針盤になりそうです。そしてこの経営理念を社員と共有し、共に愚直に実践していくこと。今回のセミナーは、農業法人経営の根幹を経営者自身で問い直す、非常に価値のある時間となりました。


次回は11月20日(木)うきは市るり色ふるさと館にて開催

【りょうちく支部11月例会】

支部が変われば、会社が伸びる❣会社が育てば、地域が活きる❣

同友会は、経営を強くするための学び舎だ。その原点を、本気の支部活動から問い直す。
宮野大樹(株)Daiju.tech 代表取締役(大分同友会日田支部長)による経営者団体の支部活動活性化についての報告です。


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2025年10月10日