【例会報告】8月例会「シンの黒字経営とは」

 8月21日(木)アクア博多にて、中央支部の8月例会が行われました。福岡県中小企業家同友会 副代表理事を務められている、社会保険労務士法人COMMITMENT 代表社員 北原正氏(南支部)に「シンの黒字経営とは~従業員のための企業規模拡大のススメ~」と題して、報告いただきました。
 
【報告について】
 自社の発展段階を創業期、拡大期、成熟期、成長拡大期に分けて、各段階での成長過程と経営努力、直面した課題とその対応策について詳細な報告がありました。

 士業界でよくある問題として、所属する社会保険労務士有資格者が独立する際、人手不足に陥り、場合によってはクライアント減少につながることがあります。さらに、従業員によってサービス品質にばらつきが生じる、いわゆる業務の属人化という課題も存在します。これらの問題に対処するため、従業員の定着率向上も視野に入れ、組織体制を「担当制」から「業務部門制」へと大胆に転換されました。

 また、組織が発展していく過程で、仕事に人を合わせる傾向が生まれ、「仕事ができる人=マルチタスクができる人」という考えに陥り、結果として従業員を疲弊させてしまうことに気づかれました。そこで方針を転換し、従業員にマルチタスクを期待するのではなく、各々の「強み」を活かし「弱み」を補完し合う体制の構築を目標とされました。この変化に伴い、採用面接においても優秀な人材よりも自社に適合する人材かどうかを判断基準とし、従業員の強みを発見するための共育にも注力されています。

 従業員の活躍機会を拡大するには一定の事業規模が必要であり、そのためにも経営者として「時代の変化に対応し、経営を維持・発展させる責任」を強く意識して経営にあたることの重要性を再認識されたとのことでした。

【まとめに変えて】
 中央支部の今年のスローガンは「会員企業100%黒字」というものですが、今回の報告を聞いて、単に利益を出せばいいというものではなく、従業員が安心して働ける環境作りをしたうえで、従業員の「強み」「弱み」を把握し、「強み」を活かしたり、「弱み」をカバーしあったりすることが必要だと思います。さらに、従業員に寄り添うだけでなく、一緒に育つ共育ということが重要なのだと改めて気づかされました。
 これは業種にかかわらず、安定経営、ひいては黒字企業への一つの道筋であり、我々の目指すべき経営の姿の一例を実践されていると思いました。

 本当に盛りだくさんで、経営者としての実体験をお話しいただき、報告、グループ討論と全体を通して、多くの学びがある例会となりました。
 実際に参加者からは、①報告の中の「ワークインライフ」という言葉がすごくしっくりきた。仕事と人生とともにあり、公私を統合した働き方へということが勉強になった、という感想、②社員の強みと弱みを生かしてチーム制にすることや、フリーアドレスでスタッフ同士がフォローできる体制は参考にしたいという声、③各フェーズで課題が生じるが、その課題を社員と共に解決、改善につなげているいて、参考になった等の感想も聞いています。

 このような実りある例会を継続して企画していきたいと思いました。

(山本公認会計士事務所 山本教貴)

2025年9月9日

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