『中小企業ってなんしよ~と?Vol.8』の取材で(株)大建の代表取締役 松尾 憲親さんを訪問してきました。

○まちづくりのプロとして
株式会社大建は、補償コンサルタント業務を軸に、土木設計・建築設計、住宅地開発、各種許認可までを一貫して手がける、まちづくりの総合コンサルタントです。道路や河川などの公共事業をはじめ、地域インフラ整備を技術と専門性で支え、行政と地域をつなぐ役割を担ってきました。
調査・設計・開発・手続き支援を一体的に行い、構想段階から完成、その後の利活用までを見据えた総合的な支援を行っている点も、大建の特長です。長年にわたり公共性の高い事業に携わる中で、地域の実情や課題に向き合い、現場に即した解決策を積み重ねてきました。
こうしたまちづくりの現場で培ってきた知見を生かし、生活向上や災害時の生活用水の確保といった社会課題に対する技術的な提案にも取り組んでいます。それが雨水貯水地下タンク「ためとっと」です。自然の仕組みを生かした大建ならではのオンリーワンの発想から生まれました。
○独自の取り組み「ためとっと」とは?
「ためとっと」は、大建が糸島市に開発した18軒の住宅地「荻浦(おぎのうら)ガーデンサバーブ」において、資産価値向上や雨水の有効活用による生活コストの低減等、「そこに住みたい」と思う人を増やしたいというビジョンを基に当時九州大学島谷幸宏教授のご指導で生まれました。「ためとっと」は「貯めている」という意味の博多弁に由来しています。
仕組みは、屋根に降った雨水を集め、地中に設けた砕石層に貯留することで、石の表面に形成される生物膜の働きにより水質を浄化し、生活用水として再利用できるものです。構造は、掘削した地盤に遮水シートを敷設し、取水管やメンテナンス設備を設けた上で砕石を充填し、土で覆うというシンプルなもので、短期間(約1か月)の工事で完成します。
設置後は地上部を庭や駐車場として利用でき、土地の有効活用が図れる点も「ためとっと」の魅力です。また水質改善にも優れており、「ためとっと」で貯留した水はトイレの洗浄や散水として、生活に身近な形で活用されています。大建の設立50周年を記念して福岡市の植物園にも「ためとっと」は寄贈され、植物への散水として利用されています。また国連ハビタット等からも、安価かつ短期間に施工でき、かつ現地で調達可能な材料と人材によって施工・管理ができる点が評価され、現在ではアジアやアフリカの発展途上国等の6か国26カ所に設置され飲料水として利用されています。「ためとっと」は、現地の人々と協働しながら、日本の技術と誇りを残す仕組みとして世界へ広がっています。
※:生物膜:水中の微生物が表面に付着して形成する膜状構造で、汚れや有機物の分解に利用される。

○人々の暮らしと安全を支える「ためとっと」へ
今後は、日本国内の災害に強い地域づくりを目指し、「ためとっと」の普及を進めるとともに、海外の水に関する様々な課題解決に貢献していきます。取り組み当初は利益に繋がりにくいと社内での反対もありましたが、人々の暮らしと安全を支えたいという松尾さんの思いが共有され、現在では全社を挙げた取り組みへと発展しています。
「ためとっと」はまちづくりの現場で培った知見を結集した他に例のない取り組みとして、今後とも人と地域の未来を支えていきます。

会社名:株式会社大建
代表者:松尾 憲親
所在地:福岡市早良区南庄2-9-12
電話番号:092-851-3900
会社HP:http://www.d-ken.jp