初心を忘れることなく感謝の気持ちでこれからも 有限会社宮本旗店  

大正8年創業 染物商品の専門店

 有限会社宮本旗店は、大正8年(1919年)3月に創業し、創業100年を超える老舗の染物商品専門店です。現在の社長である兼光さんの祖父が愛媛県の染物屋で丁稚奉公していたところ、八幡製鉄所で働くことになった兄弟から、製鉄所の発展で人口増加が見込まれる北九州での独立を勧められ、八幡東区枝光で「宮本染物店」として創業。その後昭和27年(1952年)に現在の有限会社宮本旗店に社名変更されました。現社長の兼光さんは3代目です。
 職人の手で染め上げる手染やプリントでの染色、機械によるインクジェット染色など様々な染色法を使い、どんな素材でも染め上げることが出来ることが強みです。
 旗店という社名から旗しか取り扱わないと思われがちですが、のぼりや横断幕、法被、手ぬぐい、タオル、Tシャツなど様々な布製・ビニール製の製品を制作できます。

3代目社長の兼光一輔さん

異業種の参入、コロナ禍などの危機

創業当時は、八幡製鉄所関連の安全旗や組合旗の受注や製鉄所で働く人を支える場所として栄えた商店街の飲食店からの注文が多く、地域密着型の事業を展開していました。しかし、リーマンショックやコロナ禍、インターネットを介した安価な大量生産業者の台頭など、様々な外的要因による危機に直面します。
 旗や幕は「予算が余ったら作る」と優先順位を低く見られがちで、直近のコロナ禍では、祭りやイベントの中止、飲食店の営業自粛により主要顧客からの注文が激減し、売り上げは大きく落ち込みます。そこで、社内の経費やコストを見直し無駄な支出を削減。コロナ禍前にしていたホームページリニューアルが功を奏し、ホームページを見て注文するお客さんも増えていたため、コロナ禍の3年間も黒字を維持することができました。
 インターネットの普及によるネット印刷など異業種の参入も同社が抱える課題の一つです。染物店という業種があることが知られておらず、外出せずにスマホ1つで注文できる手軽さから競争は激化しています。ネットを介した大量生産業者との差別化を図るために、顧客の細かな要望を対面で丁寧にヒアリングし、あらゆる素材に対応しながら、機械染めはもちろん、ネット印刷には出来ない職人の手による染め物も可能という専門性を活かしながら品質で勝負しています。

合併前の八幡市の組合旗

100年に感謝

 同社の経営理念は「100年に感謝」であり、「初心を忘れることなく 感謝の心でこれからも」という言葉が添えられています。祖父が創業し、父が継ぎ、3代目の兼光さんに至るまで、社員や顧客、取引先、地域の人など様々な人に支えられて今があります。これまで関わってきたすべての人に感謝をしながらこの先もずっと会社を繋いでいくという思いが込められています。そのために、ウェブやSNSを活用しつつも、初心に立ち返り、新たな出会いやコミュニケーションを通じて、商品を買ってくれる「人」とのつながりを大事にしていきます。

創業当時の宮本染物店

・創業:1919年3月
・会社所在地:北九州市八幡東区春の町3-2-34
・従業員数:4名
・事業概要:旗・幕・幟・袢天・タオル・Tシャツ・ジャンバー・記念品等の製造販売
・ホームページ:https://www.miyamoto-hataten.com/

執筆:事務局 篠原

2025年10月29日

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