よい会社をめざして 株式会社小林組

人を大切にする社風

 (株)小林組は、1885年(明治18年)に代表取締役の小林亮介さんの高祖父が福岡県うきは市で創業した会社です。創業時は城の石垣や橋の建設を行っており、昭和初期、祖父が社長のときに北九州市へと拠点を移しました。現在は学校や県営住宅などの公共工事を中心とした総合建築工事業で、自社で職人を持たず管理業務に専念していることが特徴です。
 2008年、父親(現会長)が社長のときに小林さんが入社します。当時は親族4人だけの会社でしたが、その後徐々に社員数を増やしてきました。父親はマザーテレサと言われるほど愛があふれる人で、主力事業である公共事業が削減され不況に陥った中でも、毎日ポケットマネーで社員全員におやつを買ったり、毎年クリスマスケーキを配るなど、自分よりも社員を優先するような人でした。
そんな「人を大切にする経営」を目の当たりにしながら、2024年に5代目として社長に就任します。

よい仕事をすることが一番の営業

 建設業界では職人不足が深刻な問題となっています。特に自社で職人を持たず、管理業務に特化する小林組では、職人に自社の仕事を請け負ってもらうことが重要です。そのために職人との対応には気を配り、事前打合せを綿密に行うことで段取りよく仕事ができるような環境を整えています。
 先代である父親から「よい仕事をすることが一番の営業」「100回よい仕事をしても1回の失敗で信頼が崩れるから常に気を抜くな」と何度も教えられました。この教えが今でも受け継がれ、お客様への応対を始め、職人がよい仕事をできるような環境づくりへと繋がっています。その結果、同社が施工する公共工事は、ほぼ毎回北九州市の“工事優秀賞”を受賞しており、その数は市内の建設会社の中でもダントツです。この表彰は入札の加点対象となり、次の仕事へと繋がる好循環が生まれています。父親から教えられた「よい仕事をすることが一番の営業」という言葉通りのことを実践しながら、気を抜かずに「よい仕事」をし続けています。

社員に選ばれる会社を目指して

 親族4名だけだった小林さんの入社時から、徐々に社員が増えていくものの、ブラックな企業体質が原因で離職が相次ぎます。休日数の増加や大手企業並みの賞与支給、残業時間削減に取り組み、ホワイトな企業体質になったと思った矢先、ブラック企業体質のときから勤めてくれていた古参社員から退職の申し出がありました。話を聞いていくうちに、休日数や給与などの条件面だけでなく、日々の不安やストレスなど内面的なフォローが必要であることに気づきます。そこから社員のストレスケアやモチベーションアップなど、内面も含めた「スーパーホワイト企業」へ向けたとりくみを始めます。
 若手社員の主体性を鍛えつつ、新たな風を起こす「若手会議」、会社の課題について考える中堅社員による「未来会議」を導入します。「若手会議」の結果、若手社員から会社紹介用のSNS動画の作成が提案されました。また、個人面談で社員の不安やストレスをケアしつつ、各々に個人目標を立てさせ、それに対する達成度で給料に反映する評価制度の導入によって、やる気アップへと繋げています。会社の雰囲気も変わり、任意参加の社員旅行や飲み会にも全員が参加します。会社が変わったことで若手社員が後輩を紹介してきたりと採用にも繋がっています。外部的にも評価され、企業の魅力を高めつつ、地域経済の活性化と社会課題解決に取り組む「北九州市サステナブル経営認証」を建設業で初めて取得しました。140年に渡り代々受け継がれてきた会社は、「よい仕事」を研ぎ澄ませながら、お客様・職人・社員すべての人から選ばれる「よい会社」へと変革を遂げています。

・創業:1885年1月
・会社所在地:北九州市小倉北区青葉2-7-27
・社員数:正社員23名、パート1名
・事業概要:総合工事業(住宅新築、リフォーム、学校新築及び営繕、その他施設及び大規模改修、耐震改修)
・ホームページ:https://www.koba-gumi.co.jp/    

執筆:事務局 篠原

2025年10月29日

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